講談社学術文庫<br> アウグスチヌス「告白」講義

講談社学術文庫
アウグスチヌス「告白」講義

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  • サイズ 文庫判/ページ数 359p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061590915
  • NDC分類 132.1
  • Cコード C0116

内容説明

ローマ帝国崩壊期に、教父アウグスチヌスが著した『告白』は、結婚と世俗的栄達の道を捨ててキリストの教えに帰依し、光明を見出すまでの激しい内面の葛藤、母と子の物語を赤裸々に描いて名高い。本書は、その告白文学の最高傑作を、内村鑑三に師事し、軍国主義批判のため東大を追われた筆者が、自宅に開いた私塾で講義し、まとめたものである。千六百年前の魂の叫びが、今いきいきとよみがえる名著。

目次

序言
喚求
嬰児時代
少年時代
十六歳
マニ教に入る
暗中摸索
友情論
美と適合論
学業の進歩〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

45
先に岩波文庫で『告白』を読んでいたので、その補講として読みました。私塾で講義したものをまとめたもののようです。聖アウグスティヌスの考えがより分かった気がします。2022/06/16

ロラン

5
講談社学術文庫の限定復刊です。この機を逃さず買おうと思いました。序文にあたる「開講の辞」が記されたのは昭和14年とのことで、現代日本の道徳観からすればかなりストイックな内容ですし(たとえば学生が恋愛することを戒めていたりとか)、隔世の感はあります。しかし、「キリスト者であるとともに哲学者でもある」という立場から書かれた、日本人によるアウグスティヌス論というのは稀有であり、平成も終わりに近づく現代にあっても、その内容は決して色あせないどころか、逆に新鮮味をもって読むことができるものではないでしょうか。2017/07/07

belier

3
著者は軍国批判で東大を追われた後、自宅で私塾を開いて講義を行った。この本はそれをまとめたもの。ということだが、口語的でなく、大半で文語体の訳を引用し、それから本文と註で細かく解説をしている。教父アウグスチヌスの心理を綿密に追いつつ、影響を与えたマニ教、新プラトン派の教義も詳しく明晰に説明を加える。だが学者の冷静な講義でない。内村鑑三から教えを受けたプロテスタントとして、真理を伝えたいという熱い思いが感じられる。当然カトリックには厳しいし、尊敬してやまない教父への不満さえある。理知的で情熱的。見事な講義だ。2022/11/03

やぎ

2
大江健三郎『燃え上がる緑の木』に出てきたので読んだ。文章が硬質かつ美しい。私は信仰という立場にない人間であるのだけど、やはりこう言った文章を読むと思想の美しさに感銘をうける。人間が迷い、試行錯誤し、答えを見出すまでの過程をこれほど実直に見つめ、文章にできることはすばらしい。アウグスチヌスという人の誠実な賢さ、矢内原忠雄がアウグスチヌスに向ける敬意と共感の視線、どちらも心地よく読むことができた。

jjm

2
大江健三郎の燃えあがる緑の木に頻繁に登場していた書籍。神は完璧に善の存在であり、悪は人間の自由意志のせいということ。母語ではないギリシャ語について多くを語らなかったというのはわかる気がする。語学の勉強は文化を知るという側面があると言うけれど、将来的には機械的に解決できるものであって、語学を勉強する時間を他にあてられないのはやはり損をしていると思う。特に英語話者はビジネスでもない限り、他の言語を積極的には勉強しないですからね。2020/01/26

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