内容説明
秀吉の時代、十三歳の少年たちが、日本で初めて、ルネサンス華咲くヨーロッパを訪れた。ローマ教皇やスペイン国王に拝謁し、市民らの熱狂的な歓迎を受ける。八年半の旅の後、帰国した日本はキリシタン禁制の世。はたして、少年たちの行く末は?日欧交渉史の第一人者が、使節行の足跡を辿り、豊富な史料を駆使し、その歴史的真相を解明する。
目次
第1章 南蛮バテレンの企て
第2章 南十字星に導かれて
第3章 南蛮人のふるさとで
第4章 教皇聖下の膝もとで
第5章 地の果ての王子を歓迎
第6章 遥かなる母国に帰る
終章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sibasiba
14
題名から想像した内容と違った。いや粗筋通り有名な少年使節団の困難な旅路と欧州での歓迎の紹介がメインなのだがソレを企画演出した宣教師ヴァリニャーノが主人公に思えた。「聖なる偽り」を駆使して悪しきモノから隔てられた熱烈な歓迎は喜劇的でさえある。老教皇の病める中浦ジュリアンに対する深い愛情は彼を殉教者に導く。本能寺の変から四ヶ月前に旅立って八年半の歳月を経ての帰国なので悲劇にしかならない。2013/12/11
半兵衛
6
表紙は中浦ジュリアン。「若き優秀な4人の熱意に負け宣教師が企画した使節」というイメージを持っていたが、真逆の動機と露骨な大人の事情があり驚いた。描き方は緻密かつ大容量、しかし時に詩的な表現もあり、筆者のキリスト教世界への深い感慨が匂い立つような文章。至って真面目な使節の、異文化面白小ネタもスパイスになって、一気に読んだ。監督者ヴァリニャーノが別に日本びいきでは無いこともかなりショックだった。やはりこの時代の人間は食えないな。4人の少年は、この体験をして幸せだったんだろうか。それを考える本ではないけれど。 2014/07/07
おだまん
2
先日行った演奏会の復習。ほぼ青年期を異国で過ごした彼らにとってこの経験は本当にすごいものだったんだろうな。そしてこの時代に無事過ごせたことも幸運と目に見えない色々なことがあったのだろうな。大人になった彼らのその後の人生についても考えさせられるところあり。幸せということについても。当時の華やかな南蛮音楽と裏腹に。2017/12/26
ELW
0
ヴァージニア・ウルフを含む一行が「ブンガ、ブンガ!」とやってたのよりは聖なる偽りは嘉せられるであろう。4人の手記が残されていないのが惜しまれる。『クアトロ・ラガッツィ』を読んでおいて良かった。2015/01/03
たかっち
0
いい本を読みました。2010/02/19