内容説明
古代天皇制を支える思想原理は何か。天武朝に宗教改革が行なわれ、禊が中心の古儀に対し、新儀には中国の易の思想と最新の天文学が導入された。北極星は天皇、北斗は宰相と位置づけ、天空の星々(=人民)を支配し、四季を司り、民生の安定を保証する儀式が大嘗祭。天皇即位式に潜む古代信仰の実態と論理を徹底解明する。
目次
第1章 践祚大嘗祭(御禊;大嘗祭の概要;大嘗祭の原理 ほか)
第2章 陰陽五行と伊勢神宮の祭りおよび大嘗祭(伊勢神宮の秘神・太一と北斗;荒祭宮考;神衣祭と南斗 ほか)
第3章 大嘗祭の実相(大嘗祭の祭神;大嘗祭の神座;天皇の礼服 ほか)
第4章 蒲葵と物部氏(原始各民族における蛇信仰;物部氏の首領とその系図;日本の高倉と南島の舟型屋根家屋 ほか)
感想・レビュー
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8
**ネタバレ・日本宗教論**天皇ネタ作品の読解の為、読了。読解上、重要なキーワードの一つである天皇即位式、大嘗祭(おおにえのまつり)の解説本。本書は天武朝以降について触れているが"天皇"と"巫女"の動向に注視すれば、古代出雲→大和朝廷への権力の転移が垣間見える――天武朝以前、天皇は大王とも呼ばれていた。言わば豪族のトップである。また巫女はミコトモチと呼ばれ、自身に降臨させた神の言葉を伝える聖職であった。古代では巫女が政治の中枢だった。権力闘争に勝利した天皇がどう巫女を格下に取り込んだのかが窺える面白い本。2012/10/17
ymazda1
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陰陽五行といった突飛?な内容を、この学術文庫とか「ものと人間の文化史」シリーズに名を連ねてる人だから、それなりに支持されてるものと思っていいのかどうか、よくわからなかったりしてる。 ネットでわかる経歴を見ても、強い思いを持って生きてきた人だと思うし、この人の本よりも、この人について知りたいと思う人のひとりだったりするので、だれか評伝みたいなもんを書いてくれんかなあ。。。
草津仁秋斗
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吉野裕子は二冊目だけど、かなり恣意的。著者の中の世界観がとても強くある。合うか合わないかはその人次第だけど、全体はともかく部分的に取り入れるには良いかもしれない。2014/12/02
冬至楼均
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新嘗祭の今日に最もふさわしい読み物でした。2009/11/23