出版社内容情報
小坂 国継[コサカ クニツグ]
著・文・その他
内容説明
日本最初の哲学書といわれる『善の研究』の執筆者で近代日本を代表する哲学者、西田幾多郎。強靱な思索力で意識を深く掘りさげ、心の最深部にある真実の心は何かを探究し、独自の哲学大系を構築した。西田哲学とは実際どのようなものなのか。本書は、求道者西田の思索における悪戦苦闘の跡を辿り、その思想の特色と現代的意義を分かりやすく紹介する。
目次
西田幾多郎―人と思想
西田哲学の性格(二元論の否定;無の思想;否定の論理)
近代日本の哲学と『善の研究』
「純粋経験」とは何か
西田幾多郎とW ジェイムズ
『善の研究』の宗教思想
「自覚」とは何か
「場所」とは何か
西田幾多郎とヘーゲル
「絶対無の自覚」とは何か〔ほか〕
著者等紹介
小坂国継[コサカクニツグ]
1943年、中国張家口生まれ。1966年、早稲田大学第一文学部哲学科卒業。1971年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。宗教哲学専攻。現在、日本大学経済学部教授、日本大学大学院総合社会情報研究科教授、文学博士
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感想・レビュー
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i-miya
47
2011.07.31 (カバー) 日本最初の哲学書『善の研究』西田幾多郎。近代日本を代表する哲学者。強靭な思索力で意識を深く掘り下げる。心の最深部にある真実の心とはなにかを探求。独自の哲学体系を構築。悪戦苦闘の跡をたどる。その思想の特色、現代的意義をわかりやすく紹介。(小坂国継) 1943、中国張家口生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科卒。日本大学経済学部教授。2011/07/31
Gokkey
9
一度概要から学んでみたかった西田の思想。この本はそういうニーズにうってつけの内容。絶対無として精神としての自己を消し去り、環境にあるモノに照らされた身体的な自己のみ残る。この意味で身体は主体であり客体であるが、絶対無である精神としての自己は客体化され得ず、精神は対象化されない。身体は精神と環境を媒介しながら環境を作るが、身体は環境に作られる。ここに不断に形成する主体としての自己が成り立ち、永遠の今の連続としてさらに時間が理解される。西田の思想は意識とは何かという問いに新たな視座を提供すると思うが、さて。2020/02/08
Sai
2
善の研究での「純粋経験」から、それを自覚する事で発展する「自覚論」、その自覚の存在する「場の論理」、最終的にその場が宗教/道徳的に統合される「絶対矛盾的自己同一」へと辿りつく、西田哲学の軌跡がわかる。後半の日本文化の問題において、日本は世界に対し、特殊性や日本らしさを誇張・主張するのではなく、自ら世界的な文化を造り出す一要因となることが、真の文化構築への課題であるという。西洋諸国や、シナ、インドでなく、無限包容力という特色を持つ日本こそが、それへの寄与へと繋がるという点には深く感銘を受けた。2016/05/13
mtsuka
2
読了。宇ノ気の誇る哲学者。NHKラジオ講座テキストをベースにしているので読みやすい・・が、やはり難解。空間的・理知的な西洋の「有」の文化と、時間的・情緒的な東洋の「無」の文化。対照的だが相補的な二つの文化に共通する根底を見出し、そのような根底から両文化に新しい照明をあてる。2015/01/19
R_I_1925
1
何となく西田幾多郎の思想は理解した。彼の人生経験や仏教思想の影響など、あらゆる点で清沢満之の思想に通じるところがあると思う。2018/11/16