内容説明
海は柔らかい交通路である。それは自在な交通を許し、人と人を結び、文化同士を融合させる。本書では全国の中世海村・海民の姿が、綿密な現地調査と文献から浮き彫りにされてゆく。中国大陸・朝鮮半島・日本列島をまたにかけた「倭寇世界人」を生み出した海のダイナミズムを探り、東アジアに開かれた列島社会の新鮮な姿を描き出す、網野史学の論集。
目次
1 列島(海のルート―「中国文化」と律令制;海の時代―奥能登と時国家文書から)
2 地域(中世の海村―若狭の浦々;東と西の地域史―常総を中心に)
3 都市(海上交通の拠点―金沢氏・称名寺の場合;都市の起源―今、なぜ一の谷か)
4 社会(説経節の世界―中世社会の変化;「悪」の諸相―緊張する社会)
5 海民(海の領主―伊予の「海賊」;海夫―九州をめぐる海上交通)
著者等紹介
網野善彦[アミノヨシヒコ]
1928年、山梨県生まれ。東京大学文学部卒業。日本常民文化研究所員、都立北園高校教諭、名古屋大学文学部助教授、神奈川大学短期大学部教授・同経済学部特任教授を歴任
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。