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講談社学術文庫
思想からみた明治維新―「明治維新」の哲学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 248p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061596375
  • NDC分類 210.61
  • Cコード C0121

内容説明

日本人の自力による史上唯一の「革命」は、いかにして成しとげられたか。維新の百年前、幕藩体制を否定し自らの信念に殉じた先駆者山県大弐、はるかな時を経て山県の思想を吉田松陰に伝えた僧黙霖、佐久間象山・松陰師弟、久坂玄瑞らの松陰門下、真木和泉、勝海舟、坂本龍馬…。維新として結実したさまざまな人々の熱い思想の系譜をたどり返す。

目次

歴史の進歩とは何か
一世紀まえの先駆者
幕府の衰退と人民の抵抗
国民国家への幕政改革
外国条約と安政の大獄
御一新の思想的源泉
維新変革への歩み
御一新の成就と維新の明暗
おわりに―歴史の逆説と闘おう

著者等紹介

市井三郎[イチイサブロウ]
1922年、大阪市生まれ。大阪大学理学部卒業後、哲学へ転進。2年間の英国留学後、愛知教育大学助教授、成蹊大学教授を歴任。1989年没
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

2
初出は1967年。明治維新を成立させた思想の流れを論じた書籍なのですが、現在の目で読んでみると、うーん……進歩史観と階級闘争史観の詰め合わせといった読後感。攘夷論を「信仰的攘夷論」と「自覚的攘夷論」に分けて、後者の立場を討幕のためのスローガンだとする解釈は卓見でしたが、全体に結果から振り返って、自説に都合がいい事象をピッキングしているという印象は否めず。孝明天皇の暗殺説が肯定的に紹介されていたり、坂本龍馬の「船中八策」が事実として扱われていたりで、歴史研究の移り変わりを実感させられるのであります。星3つ。2024/02/21

Berlin1888

2
1967年刊行書の文庫化。昭和の戦後、あるいは安保闘争や学生運動の真っただ中の御時世に書かれた明治維新論。明治維新100周年の本なのですが、半世紀が経っても日本人の歴史観は進歩していないといおうか、それとも退行してしまったのか。薩長思想は見直されたことはないとか、明治維新は抑圧された民衆の解放だったとか、いったい何を見ていっていたものやら。どんな思想が背景にあって討幕へ進んでいったのか、変革の理念をかかげたものの何が実現できなかったのか。最近の威勢がいいだけのアジテーション本よりもはるかに良書。2017/09/29

denz

1
近年の幕末史を扱ったものは、開国派は時代の先覚者で、攘夷派は頑迷な狂信者のような描き方をするが、60年代にはまだ彼らを民族主義の立場からの共感がみられる。本書は、阿部正弘という現実政治家の再評価をしつつも、山県大弐から吉田松陰、久坂玄瑞にいたる「自覚的攘夷派」への満腔の共感を示している。そこには客観的には誤ていても主観的には時代をつくる参加者としての自覚をもつ、「愛国主義」的で「民主」的な運動の安保闘争の記憶が生々しく残っていたからかもしれない。2011/07/06

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