出版社内容情報
しっぽの先に毒のしずくがキラリ。サソリの必死の闘いから、子育てまでのドラマやクモたちの狩りの方法の面白さなどが明らかに。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
302
第4巻の副題は「サソリの決闘」。最初に取り上げられるのはナルボンヌコモリグモ。ナルボンヌは地名(当時は南仏のラングドック地方とプロヴァンス地方の総称)。コモリグモは、母クモが卵から孵った幼生のクモを200匹以上も背中に背負って育てるところから命名。優しそうな名前なのだが、このクモは地中に穴を掘り(クモの巣は作らない)、やってきた獲物に飛びかかり、急所を狙って毒を注入するという恐いクモなのである。このクモは、本題の「サソリの決闘」にも登場し、サソリと戦うがあっけなく敗北してしまう。サソリは実に敏捷かつ強い。2023/12/29
毒兎真暗ミサ【副長】
24
【ファーブル紀行と共に】扉絵のラフスケッチが嬉しい。主役はサソリというだけあって写真は雄と雌の尻尾を丸めた姿から。しかし本編は大半がクモの事で興味深いのは糸の仕組みで出てくる糸も用途によって違うという驚きもあり。本作には珍しく「先生は残酷な事が嫌いです」と何回か出てくるが本当に?と疑いたくなる実験の数々。毒グモを様々な虫と対峙させ、強者とサソリが闘う。ただ、そのサソリの毒にも負けない兵が!それはまさかの、赤ちゃん(幼虫)だった……という最後のカマキリがかすむ第四巻。サソリが住む山が印象的だった。2024/01/15
tom
7
古本屋の100均本。ファーブルの昆虫記は児童書でしか読んだことがなかった。この本は訳者奥本大三郎の翻案というものなのかしら。クモは、糸で獲物を絡め取り、消化液を流し込んで獲物の体を溶かして吸い尽くしてしまうとのこと。こんな話がいろいろ出てきて、なかなか面白い。2012/05/16
わらわら
6
今回は蜘蛛とさそりと蟷螂の話。ナルボンヌコモリグモ(毒くも)、ランクドックサソリ(毒さそり)の本能が面白い。卵から孵った数千匹の子を背中にのせて育てる、母性本能がすごい!いや違う。少し大きくなると餌と思って食べてしまうサソリ。蜘蛛は似たようなものを背中に積んであげれば、それで満足(両方と子に餌はやらん、子は餌なしで育つ)いろいろな実験を行うファーブルと言う人間の本能にも興味ある。サソリの遺伝子を操作し、子を食べないようにする(かわいそうだから)現在の世の中って、そんなことを操作しているように思う。2015/09/19
入江
3
後戻りできない単純でシステマティックな昆虫の世界が面白い。特にサソリよりも蜘蛛の生態は身近なせいか楽しめます。またカマキリの、首のないオスと交尾するメスは衝撃です。2014/07/28