出版社内容情報
頭注・原文・現代語訳が同一ページ。二色刷
北海にすむ翼長三千里(一・二万キロ)の水鳥・大鴻が南極目ざして一日幾千万里を年を重ねて飛んだが、行き着かない。疲れて大木の枝先にとまったところ、枝と見えたのは大海老の髭だった。大鴻の高慢をいましめた大海老が、今度は自分が南極を目ざして漫々たる海へと泳ぎ出したが、明け暮れ急いだもののやはり行き着かず、ある洞穴に入って休んだところ、虚空より大声が響いて、なんと洞穴と見たのは大亀の耳の穴だった。今度は大亀が南極へと向かったが、……今日になっても帰らない。『一休ばなし』 ミクロとマクロを問われた一休和尚の、蝸牛角上の争いに次ぐ壮大なたとえ話である。 江戸初期、戦乱がようやくおさまると、学問が息を吹き返し、今日まで続く出版文化が花開き始めた。読者の旺盛な知識欲にこたえるため、平易な仮名書きの多様なジャンルの作品群が次々刊行され、全国シェアのベストセラーとなっていった。 本巻に収めたのは各分野を代表する作品。京都大震災のドキュメント『かなめいし』、ドロップアウトした男の事件録『浮世物語』、廓遊びの極意『たきつけ草・もえくゐ・けしずみ』、高名な奇僧の一代記『一休ばなし』、怪異小説の先駆け『御伽物語』の5作。
谷脇 理史[タニワキ マサチカ]
著・文・その他
岡 雅彦[オカ マサヒコ]
著・文・その他
井上 和人[イノウエ カズヒト]
著・文・その他
内容説明
寛文二年(1662)京都大地震のルポルタージュ『かなめいし』。ダメ人間の浮世房をめぐる珍妙な事件録『浮世物語』。廓遊びの極意『たきつけ草・もえくゐ・けしずみ』。名高い和尚の一代記『一休ばなし』。怪異小説の先駆『御伽物語』を収録。
目次
かなめいし
浮世物語
一休ばなし
たきつけ草・もえくゐ・けしずみ
御伽物語