近世説美少年録〈1〉

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近世説美少年録〈1〉

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  • サイズ A5判/ページ数 525p/高さ 24cm
  • 商品コード 9784096580837
  • NDC分類 918
  • Cコード C1393

出版社内容情報

曲亭馬琴畢生の幻の傑作読本が、初の完全翻刻・詳注・全訳で復活。

陶晴賢(すえはるかた)の大内義隆弑逆(しいぎゃく)という史実に材をとり、中国白話(口語体)小説の趣向を盛り込んだ、全六十回(講釈スタイルで「回」を使う)の曲亭馬琴の大作読本。注釈・現代語訳を施した完全な翻刻は、当全集が初めてで、本巻(1)は三分冊の一、第二十回までを収録。大内家の家臣陶隆房と京都の歌妓お夏との間に生まれた、主人公珠之介(晴賢)が、その美貌と才知を武器に次第に成り上がっていく様子を、馬琴独特の緻密な構成と精緻な文体で展開する。運命に弄ばれ、次々に男に身を任せる淫奔な母、お夏。山賊に育てられ、また富豪に引き取られて贅を知り、そして希代の美貌によって大名の寵愛を得る珠之介。母子の流転の裏には、のちに逆臣となるべき邪心奸知が少年に芽生えていた……。『八犬伝』で世評を得た馬琴が、それと並行して足かけ二十年にわたって書き継いだ大河小説で、『八犬伝』が主に男性読者に好まれたのに対し、本作は女性読者を熱狂させたという。お夏の奔放さは女性に科せられた呪縛からの開放ともいえるし、珠之介の美少年ぶり(当初の挿画は国貞)とニヒルな生き方は、それほどまでに妖しい魅力をもつキャラクターなのであった。

徳田 武[トクダ タケシ]
著・文・その他/翻訳

内容説明

大内家の家臣陶興房と京都の歌妓お夏との間に生れた珠之介。母子の波瀾万丈の生きざまの中で少年には、希代の美貌の裏に邪心奸知も芽吹いていた…。逆臣陶晴賢を予兆させる物語を、馬琴は緻密な構成と精緻な文体で展開。

目次

諫を拒て管領古廟に陣す 屯を驚して水火驕将を懲す
窮厄を脱れて弘元漁家に宿る 理乱を弁じて它六俊士を資く
賊巣を突て弘元連盈を捕ふ 蛇穴を焼て義興禍胎を遺す
御廟野に興房阿夏に遭ふ 鴨河原に両情春夢を結ぶ
密使茶店に貴翰を伝ふ 美婦子を携て情人を送る
二賊剪径して父女を屠る 一妻羞を忍て両讐に従ふ
神僧歌を咏じて解脱を示す 阿夏計を定めて旧怨を雪む
駿馬流に臨て母子を全うす 美玉介と做て孤客を留む
関帝廟に少年義を結ぶ 福富村に幼女別を惜む〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南北

38
戦国時代、大内義隆を討った陶晴賢の少年時代を描いた話。悪の美少年、末朱之介として登場する。曲亭馬琴の読本なので勧善懲悪ものと思いがちだが、意外と悪の描写がうまい。また音読してみると歌舞伎の台詞のようにも感じられて楽しめる。南総里見八犬伝と並行して書かれた作品だが、本作は残念ながら未完に終わっている。2021/04/14

ペミカン

2
時々読みたくなる古典。江戸モノは音読して愉しむ。たまのすけ~改心できないのか?早く続きが読みたい。。2021/03/11

jinxixiuwen

1
周防の戦国大名大内義隆の家臣で主君を弑した陶晴賢を悪の美少年、毛利元就を善の美少年に見立てた勧善懲悪物のつもりが、未完のため善悪並び立つ物語になってしまったとか(笑)。本巻では主人公(晴賢)の出生から、山賊に育てられたり富豪に引き取られたりとの数奇な少年時代を経て、その美貌と奸知を武器に次第に成り上がっていく様子を描く。単なる行きあたりばったりの怠け者で悪人という感じは乏しく、典型的なピカレスクロマンの主人公。運命に弄ばれ次々に男に身を任せる淫奔な母親お夏が、馬琴が描く女性には珍しく生彩を放つ。2022/04/05

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