内容説明
酒、チーズ、納豆等の嗜好食品から医薬品、洗剤の製造、さらには抗生物質、アミノ酸、ビタミン、微生物タンパク質の製造まで、発酵の作用は広く利用されている。自然界における環境浄化もまた微生物の活動に依存する領域で、発酵は地上の動植物の生存に不可欠の作用である。フグの毒抜き、中国の“奇跡の発酵”等、世界各地の発酵文化に今日のバイオテクノロジーの原点を探り、目に見えない微生物の神秘的世界を宇宙的スケールで捉える。
目次
第1章 地球と微生物
第2章 微生物と発酵の発見
第3章 発酵技術の進歩
第4章 日本人と発酵
第5章 発酵を司る主役たち
第6章 今日の発酵工業
第7章 奇跡の発酵
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ガクガク
31
御存知発酵学の権威、小泉先生若かりし頃の一般向け科学書。人類のあらゆる生活に深く関わって役立っている発酵の驚異の世界を興味深く説く。醤油・味噌・酒などの食べ物だけでなく抗生物質や薬品、機能性食品等々、こんなところにもと思うくらい発酵というのは我々の生活を豊かにしていることを知った。中でも日本は世界に冠たる発酵王国。かつおぶし、くさやのひもの、数多の漬物、納豆、世界中で売られる醤油・・・あまり意識することはないけど、改めて日本人の周囲に広がる発酵食品の奥深さを再認識した。ごはんに納豆、味噌汁を毎日食べよう!2014/03/19
きょーこ
22
「発酵とは、あくまでも人間社会にとって有益なものであること」目に見えない仕組みなのに、日本でも縄文時代からお酒を作った跡が見られる。最近、味噌とキムチを手作りしたので興味を持った。細かいところは斜め読みだけれど、未知の世界なので、面白かった。人の知恵は素晴らしい。2016/04/11
夜郎自大
7
発酵のことしか頭の中になさそうな筆者。 微生物が起こす発酵という作用はその体内におる酵素が起こしている。その酵素の謂わば糞みたいなものを栄養素として取り込んでいるようだ。 酵素だけを取り出して人為的に発酵を起こす産業は医薬品やワクチンなどにも広がっているとは驚き。 もう少し興味関心を持とうと思う。2024/04/26
じゅん
4
生活を支える微生物。食品だけでなく、様々なところで活躍し、産業の一端を担っていることを再認識。2020/12/30
Phycology
4
微生物学の誕生から、食品だけでなく製薬や環境浄化まで。ものすごい知識量がコンパクトにまとめられている。日本人と発酵の章がおすすめ。目からウロコが落ちまくり。2015/05/09