内容説明
ツタンカモンの黄金の仮面は、われわれにとっての古代エジプトを象徴しているが、ナイル渓谷のデルタ地帯に高度に集約的な農業を展開したその社会を支えた人々の姿は未だに知られていない。はたして、どんな国土に誰が住み、どんな宗教の下で、どう暮らし、どう死んでいったのか。言語も一度は完全に忘れ去られ、外界との接触もないまま滅亡した「閉じられた王国」の全貌を、数少ない資料を基に、丹念に再構築する試みである。
目次
第1章 エジプトの国土と人々
第2章 エジプトの歴史
第3章 宗教と神話
第4章 死と来世
第5章 言葉と文字
第6章 文学作品
第7章 王の王、ラメセス2世
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いくら丼
7
以前読んだ、『面白いほどよくわかる古代エジプト』の元ネタ書籍。今手に取るとこう……感慨深いですね、「ああ、当時はこんなことも初知識だったんだなあ」と、専門用語に馴染んだのを実感したり、当時全部が新鮮すぎて取りこぼしていた知識に改めて触れて、落ち着いて知識を補強したり……こう、面白く楽しく読めました。3点、「エジプト神話」、「エジプト語」、「20世紀のダム工事とアブ・シンベル」の話題は、上記書籍ではかなりカットされていたので普通に面白――最後! 今なのそれ! もうちょっと早く読んでいれば!(頭抱え)(定期)2022/02/14
備忘録
4
古代エジプトは分からないことだらけだそうです。用いられていた言語は既に死語だし、残された文字は子音のみが記されていて、母音はどのように発音するか不明だし、そもそも古代エジプト人の生きていた時代ですらどういう意味を持つのか忘れ去られていた呪文を、「効果がありそうだから」と墓所に刻んでいたりするし。書いた本人が理解していない文章を、何千年も後の人間が分かる訳ないのです。とはいっても1990年の本なので、25年以上経った現代ならもうちょっと研究が進んでるのでしょうか。2016/01/31
環世界
2
言語と文字資料を中心とした古代エジプトの概説。象形文字文法の少し詳しめの解説や、書記階級の妙なエリート意識が垣間見える手習いの紹介、古代エジプト文学など、考古ではなく言語を専門とする筆者の視点から古代のエジプトが照らし出されていて興味深かった。1990年初版なので、いまはもっと研究が進んでいるんですかね。2020/07/12
Mentyu
2
言語系の先生が書かれた古代エジプトの概説書。一般的なエジプト本と比べて文学や文法の話にウェイトが置かれている。コプト語の表記が呪文の音を記録する所から始まったなど今まで知らなかったことも書いてあったのでおもしろかった。2013/05/20
Kanbukyoukou
1
これほど有名ながら、これほどわかっていないとは。 自分は浅薄な知識しかなかったから、色々新鮮だった。2015/11/03