中公新書<br> 激動の東欧史―戦後政権崩壊の背景

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中公新書
激動の東欧史―戦後政権崩壊の背景

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  • サイズ 新書判/ページ数 227p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784121009968
  • NDC分類 230
  • Cコード C1222

内容説明

1975年チェコの劇作家ハヴェルは「歴史の声」を予告した。その声は89年に東欧全体に響きわたり、政治的自由と民主化を要求する民衆の奔流が、戦後40数年続いた共産党政権を押し流してしまった。53年の東ベルリン、56年のブダペスト、68年のプラハ、80年のグダンスクと繰り返された動乱は、東欧の民衆が一貫して自由と自立を求め続けた歴史であったが、本書はそれが一気に実現するに至るまでの流れを見事に叙述する。

目次

序章 激動した東欧
第1章 第二次世界大戦と東欧諸国
第2章 東欧のスターリン主義体制
第3章 非スターリン化と東欧動乱
第4章 改革の進展とチェコスロヴァキア
第5章 改革の退化と抵抗
第6章 混迷に陥る自立諸国
第7章 ポーランドの激動と危機
第8章 権威構造の自壊
終章 東欧の新生とその課題

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

60
32年ぶりの通読。1990年のドイツ統一直後のもので、スターリン時代からハンガリー動乱や「プラハの春」といった激動を経て、ゴルバチョフ登場後の雪崩を打つ社会主義崩壊についてを俯瞰している。この中で重要なのは、1980年のポーランド「連帯」の運動が東欧革命の前奏曲のような役割を果たしているとしてやや詳述されている部分と、同時期のINF配備に対する東西ヨーロッパの反発と思った。最後の崩壊過程は個別の違いがあるのでもう少し詳細なものも読みたい。著者自身が崩壊への見通しが甘かったと自戒しているのが印象的。2023/12/20

ジュンジュン

10
東欧革命の興奮醒めやらぬ時期(1990年)に書かれているので、今日読むには注意が必要かも。ある程度時間が経たないと、客観的な評価は難しいように思う。また、200ページちょっとに、8ヵ国(ポーランド、チェコ、東独、ユーゴ、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、アルバニア)を詰め込んでいるためか、混乱してしまった。2021/08/02

coolflat

10
30頁。ソ連が東欧に共産主義を輸出することを目的として同地を席巻したとみるのは、いささか単純な見方だというべきである。ソ連は東欧の多く国に、モスクワにいた亡命共産党幹部を連れ込み、強引な権力掌握の工作を行った。しかし1948年頃までについていえば、それは西欧や中欧との戦略上の緩衝地帯に自分の言うことをきく権力を配置するという意図からであった。旧枢軸諸国から極めて苛酷な賠償をとろうとし、また東欧各地でドイツが戦時に接収していた工場や施設を「ドイツ資産」として根こそぎソ連に持ち去ったことなどからも明らかである2017/07/16

藤枝梅安

7
春江一也さんの「プラハの春」「ベルリンの秋」を読み、第2次大戦後のいわゆる「東欧」のことを知りたいと思い読み始めた。筆者は東欧の専門家で、この新書はベルリンの壁崩壊、ドイツ統一後の1990年12月に出版されている。私はその頃、半年の英国研修を終え帰国したのだった。東西ドイツ統一は在英中の大きなニュースの一つだった。第2次大戦後の「東欧」の歴史を俯瞰しつつ、筆者自身の当時の考察を絡め、さらには、当時の自らの考察が浅かったと謙虚に反省している点に好感が持てる。2010/07/20

jj

5
東欧諸国の社会主義化からベルリンの壁崩壊までの市民革命・自由主義化の変動期を分かりやすく解説されとても参考になりました。当時の東側諸国は一枚岩でなく、常にソ連の恐怖政治に支配されていた実態から逆にソ連ゴルバチョフ政権のより進んだ自由化改革路線の影響で、政治的コントロールを失った東欧諸国がなし崩しに自由化する様子はまさに激動な時代であった訳ですね。また当時のローマ法王ヨハネパウロ2世(ポーランド出身)の租税回避地バチカンからのポーランド自由化への資金関連援助を示唆する内容に触れている点も興味深いですね。2016/04/30

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