中公新書<br> ラディカル・ヒストリー―ロシア史とイスラム史のフロンティア

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中公新書
ラディカル・ヒストリー―ロシア史とイスラム史のフロンティア

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  • サイズ 新書判/ページ数 315p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784121010018
  • NDC分類 238
  • Cコード C1220

内容説明

ペレストロイカは経済問題とともに民族問題の爆発を惹き起こした。十六世紀から膨張を重ね、社会主義政権に受け継がれたソビエト・ロシアはユーラシア大陸の巨大な版図に数多くの民族と宗教をもつが、いまそのヨーロッパ的世界とアジア的世界に亀裂が生じているのである。本書は進行しつつある現在時と歴史的時間をクロスさせ、ロシア史とイスラム史のフロンティアに存在する隠れた構造を剔抉する、歴史学の野心的試みである。

目次

序章 輪郭―白いハーン
第1章 接触―スラブ=トルコ政治経済圏
第2章 征服―民族国家から多民族国家へ
第3章 正当化―トルストイとカフカースの英雄
第4章 支配―新井白石と西徳二郎の見た中央アジア
第5章 軋轢(あつれき)―ムスリマ・シンドローム
第6章 記憶回復―スルタンガリエフの復権
第7章 自己主張―フラトリサイド(兄弟殺し)
終章 代償―ゴルバチョフと新ユーラシア国家

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

15
最近のロシアとウクライナの動向を見ているとこの中で著者が分析されていることがよくわかります。ロシアの南下膨張主義政策とイスラムの歴史が重なって昔からこの地帯というのは結構どちらに属するかで大変であったと感じます。その歴史を比較的わかりやすく説いてくれてます。2014/03/18

fseigojp

12
ソ連の時代からロシアはトルコ・モンゴル複合体(おもにイスラム系)を半分含んでいたのだが、それに対する系統的な歴史は初めて読んだ 面白かった2019/12/05

印度 洋一郎

5
モスクワ公国に遡る、ロシアとイスラムとの深い関係をムスリムの視点で辿った刺激的な内容。従来のロシア史が意図的に無視してきたイスラムに侵略され、支配され、逆に征服していく過程での影響と共存を見ていくと、いわゆる「タタールのくびき」という史観は表面的なものである事が伺える。それはロシア革命後も続き、ボルシェビキに参加したムスリム達が指導部の推進する女性解放に面従腹背で骨抜きにしていた事例などが「イスラム共産主義」の矛盾を物語る。そして、ソ連時代に形成されたイスラム諸国は民族問題を内包し、それは今も続いている。2020/03/18

ピラックマ

1
91年の本ではあるが、ロシア周辺のユーラシアの歴史を概観するには良い本。とにかく人種、宗教、文化、複雑すぎて追いきれないが、民族紛争が絶えない地域だというのは良く判った。もうどうすりゃ纏まるのか判らない程に...2022/05/15

うえ

1
「文明の発展を歴史の目的と考えるヘーゲル主義には強国による弱国の支配を容認してしまうような思想的可能性がある…この余地はマルクス主義,さらにはソ連の歴史イデオロギーにも継承された…ヘーゲル主義とマルクス主義の歴史観の特徴である楽観的な発展論はカフカース併合に関するこれまでのソ連の公式歴史学の解釈にも現れている…ツァーリ政府によるカフカース併合は非難すべき征服活動であったが結果として…カフカースの経済や文化の発展に大きく寄与したという解釈に」「エリオットはロマン主義が帝国主義に組み込まれていると指摘」2014/08/20

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