内容説明
本書は、黎明期からの先人の苦心の跡を辿り、麻酔がかかる仕組みを探り、今後の手術室がより快適であるための方法と可能性を、大学病院の現場から報告するものである。
目次
第1章 麻酔・手術への流れ
第2章 麻酔の基本と種類
第3章 いろいろな病気をもった患者の麻酔
第4章 全身麻酔薬
第5章 局所麻酔薬
第6章 なぜ麻酔がかかるのか
第7章 麻酔の危険性と蘇生への努力
第8章 脳蘇生への模索
第9章 麻酔事故とその予防
第10章 手術室の周辺
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
OjohmbonX
6
麻酔科医の先生が書いた本がなんで、麻酔「と蘇生」なのかなと最初思った。でも全身麻酔って強制的に人間を死に近い状態に引き下げて、また復帰させるんだから、引き上げ方=蘇生とセットなのは当然なのか。この死に近い状態を手術中にキープするのが難しい。意識も呼吸も止め、かつ体をいじってるから、状態をモニターして正確にコントロールしてかなきゃいけないって話が中公新書らしい(新書らしからぬ)詳細さで語られる。麻酔学は侵襲と保護の相克だという。局所麻酔や、歴史や現状の話もあって素晴らしいけど、いかんせん20年前の本なんだ。2014/02/25
とりぞう
1
「1960年、ジョンズ・ホプキンス大学のグループは、胸を切り開き、心臓を直に手で圧迫する方法に代わって、胸の骨を圧迫することにより心臓を胸骨と脊柱の間で圧迫して、心臓の中の血液を絞り出す体外式のの心臓マッ サージの方法を発表した」なんて話など。大いに楽しんだ。でも老齢に近づくぼくとしてはいろいろ怖い話も^^。2020/07/17
ひろけん
0
蘇生って麻酔からの覚醒のことかと思ったらホントに蘇生(救命救急の)のことなんですね。両者がセットだとは初めて知りました。で、できれば麻酔薬の種類と作用機序、副作用とか、いわゆる薬理について書かれていることを期待してたんですが、中心は歴史についてで、ちょっと残念。しかしそれはそれで凄まじかった。自らを実験台にした医師達の存在、患者達の犠牲。知れて良かった。ただ、歴史編と薬理編で分けてくれた方が読み易かったと思う・・。2015/06/24