中公新書<br> フリードリヒ大王―啓蒙君主のペンと剣

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中公新書
フリードリヒ大王―啓蒙君主のペンと剣

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  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121011527
  • NDC分類 234.05
  • Cコード C1222

内容説明

十八世紀なかばに、オーストリア、フランス、ロシアなどの大国を相手に七年戦争を戦い抜いた小国プロイセンの王フリードリヒ。彼は戦略の大家であると同時に、ヴォルテールを師として詩作に耽り、自らフルートを奏でる芸術家でもあった。しかし、彼にまつわる諸伝説の多くは、プロイセンがドイツ帝国となった十九世紀に成立したものであった。本書は、歪められた虚像の奥から、啓蒙君主の魅力的な人間性を引き出す試みである。

目次

1 初めてのプロイセン王―フリードリヒ一世
2 軍人王フリードリヒ・ヴィルヘルム
3 王太子フリードリヒ
4 逃亡
5 ラインスベルク宮の雅宴
6 夢想するアンティ・マキャヴェリスト
7 シュレージエンの征服
8 サンスーシ宮の建設
9 貴婦人たちとの戦い、七年戦争始まる
10 姉ヴィルヘルミーネの『回想録』
11 文人フリードリヒ
12 素顔のフリードリヒ
13 孤独な晩年
14 寛容はどこへ行ったか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

96
COTEN RADIO#249-260「フリードリヒ大王」を聴き読了。この新書のエピソードが多く使われていた。祖父・選帝侯フリードリヒ、父・軍人王フリードリヒ・ヴィルヘルム、父親からの逃亡と友人カッテの処刑を経て、王位継承者として啓蒙主義を身につけ、1756年七年戦争を大国に挑み、プロイセンを苦労してなんとか確立させた。同時に学問と芸術、詩歌と音楽・フルートを愛した面もあった。死後約200年経過した頃に書かれた新書。https://www.youtube.com/watch?v=xf03xtBcfDg2022/09/12

白義

10
一般に、啓蒙絶対君主としてプロイセン近代化を進めたと見られているフリードリヒ大王に、ロココ時代の文化人というやや変則的な視点からアプローチし、軍事に留まらずジャーナリストとして、哲学者、詩人として八面六臂の活躍を見せたこの王者の人間性を描き出そうとしている。後に神話化されたものの、実際には強圧的な父との葛藤や友人との決裂、舌禍という欠点も多大に含み、伝説以上に魅力的な生涯で魅力的。アンチマキャベリストとして知られながら、シュレージエン征服には典型的マキャベリズムで望んだなど皮肉である2013/08/27

富士さん

8
初めて読んだときの印象がほとんどない本でしたが、読み直してみてやっぱり飯塚信雄だと感心しました。一見フリードリヒ2世はやってることがバラバラでよくわからない人ですが、それは一点に収斂される人格を捉えようとするからであり、バラバラの要素すべてが真であることを認めればそうでもないのかもしれないと思います。王としては狡猾で手段を選ばず、軍人としては戦争を楽しみ、家長としては高圧的で、友人としてはきついジョークが好きで、そして個人としては徳義を愛する。役割の束として人があるなら、このような不可解さこそが自然です。2014/06/28

しもふさ

7
ロココの君主という視点でフリードリヒが描かれていて、彼の性格の屈折も含めて面白く読めました。本質的に対立する王(権力者)と詩人の性格が一つの人格に包摂されたときの、時にマキャベリストで、時に詩人であるこういう人格は疲れそうだ。自分自身を持て余してそうな感じがし、それが時に毒舌となってでていたのではないかと。2つの対ハプスブルク戦争も勇ましいものではなく、憔悴するフリードリヒが描かれていたのは新鮮でした。あと、フリードリヒの父が民衆に愛されたいために杖で叩く場面は、現代にも有り勝ちな悲哀を感じました。2016/07/05

ジュンジュン

6
フリードリヒ大王を考えるとき一番の関心事は、気弱な王太子が即位すると、突如攻撃的になってしまうその落差(即位後、わずか半年でシュレジエン侵攻!)。本書で変貌した原因あるいは理由に、納得できる説明は得られなかったが、大王とその周辺を簡単に概観することはできた。ビスマルク評らしいが、"すぐれた戦略家と言うより、賭けに勝った冒険主義者"は、言い得て妙。2017/01/10

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