内容説明
一九四一年、植物学者三木茂博士が日本で出土した化石から発見した名づけたメタセコイアは、百万年前に姿を消したと考えられていた。ところが同じ年、中国四川省奥地で発見され、一九四八年、現生するメタセコイアとして新種記載された。化石は甦ったのである。本書は、古生物学、植物学の歩みを辿りつつ、国境を越えた学者間の友情、そして戦後日本の復興をこの木に託して詠まれた昭和天皇のエピソードを愛情こめて綴る物語である。
目次
第1章 発見
第2章 三木茂
第3章 アケボノスギ
第4章 時の流れに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
19
化石として知られた生物が、生きて発見されるという、稀な事例の代表がメタセコイアだろう。戦争をはさんで情報の交流も困難な時代に、日・中・米それぞれの学者が、困難を乗り越えて、研究と協力を進めていく過程は感動的ですらある。戦後の明るいニュース「生きている化石」のもたらしたロマンは、今も各地に大きく育ったメタセコイアにしのぶことができる。あれこそ日本に100万年ぶりによみがえった古代の樹なのである。2014/02/10
みやざき しんいち(死ぬまでにあと1,000冊は読みたいんだ)
14
〔4/50〕三木先生の深い好奇心と不断の努力次第でメタセコイアという種が確認された、それにいたる物語。 メタセコイアは、昭和天皇がお好きで、歌に詠まれたほど。戦後の焼け野原から復興していく日本を、力強く育っていくメタセコイアになぞらえていた。2016/01/16
ymazda1
3
そこいらじゅうの公園とかにメタセコイアの巨木があって、樹齢何年なんだろうって子供ながらに思ってたけど、国内での化石発見と中国での再発見のドラマと、戦後の国内持込みの話をこの本で知って、ビックリ・・・なんで北米原産のラクウショウとそっくりなの?とか、なんでそんなに早く大きくなるの?とか、個人的に疑問の尽きない木かも。
takao
1
ふむ2022/08/05