内容説明
現在、日本の農業といえば稲作と答える人が多い。しかし、古く『日本書紀』の農耕神話のなかに五穀(稲・粟・稗・麦・豆)が記されていたように、日本の農業の特色は、稲を含めた雑穀栽培にあった。実際中世の農民は、彼らの日常生活を支え、夏の飢餓を救ったのは冬作麦だと言っている。稲作一辺倒の理解は再考されなければならない。本書は、日本列島上の畠作というもう一つの農耕文化の実態と、畠作物と日本人との深い関係を照射する。
目次
序章 多様で豊かな日本の農業
第1章 農耕事始め
第2章 古代の畠地と雑穀
第3章 儀式と雑穀
第4章 大開墾の時代と畠作
第5章 荘園制のなかの畠作
第6章 民衆生活と畠作
終章 日本史の中の畠作