内容説明
明治初年に始まった海外移民は高度成長期まで続けられ、北米、南米、ハワイへの移民輸送は日本の海外定期航路の基盤となった。この間、国策と移民たちの意識は出稼ぎ渡航から家族移住へと変化し、船自体も性格が変わった。「人間を運ぶ貨物船」と言われた劣悪な船内環境は、衛生、居住性を重視した設計へと改善され、現在のクルーズ客船へと発展する。移民たちの夢と不安を乗せて航海した船と船内生活の変化を辿り、移民史の空白を埋める。
目次
序章 笠戸丸
第1章 明治・大正期の移民船
第2章 ブラジル移民全盛期の移民船
第3章 移民船の旅客設備
第4章 蒼氓の船旅
終章 戦後の移民船
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩火事
5
大学の時に海外移住研究部という部活に所属していました。南米に移民する人のためにカンパを募る活動をしていた集まりだったと聞いてます。正直日系移民についての知識は今までなく、知らないことばかりでした。本書の中によく出てくる石川達三の本読んでみようと思います。2018/04/22
たぬきのしっぽ
1
南米移民を中心とした移民船の歴史の解説。移民船のなかでの生活の様子の描写がおもしろい。また、移民船にとどまらず、近代日本の移民史全体が俯瞰できる情報が随所に挿入されているので便利。2009/12/03