中公新書<br> 百人一首―恋する宮廷

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中公新書
百人一首―恋する宮廷

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  • サイズ 新書判/ページ数 229p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121017253
  • NDC分類 911.147
  • Cコード C1292

内容説明

鎌倉時代初期、藤原定家によって編まれた「百人一首」は、カルタとしての普及もあって、私たちが最も親しんでいる和歌のアンソロジーである。時代ごとにさまざまな読まれ方を許容する奥深い世界は、現代においてもまた、今日ならではの社会環境や情報の上に立った読みを可能にするはずである。本書は、現代詩の第一人者が、海外の詩歌にも思いを馳せながら、百首について、豊かな読みの可能性を示すものである。

目次

秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ(天智天皇)
春すぎて夏来にけらし白砂のころもほすてふ天のかぐ山(持統天皇)
あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む(柿本人麻呂)
田子の浦にうち出てみれば白砂の富士のたかねに雪はふりつつ(山部赤人)
おくやまにもみぢ踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋はかなしき(猿丸大夫)
かささぎのわたせる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞふけにける(中納言家持)
あまの原ふりさけ見れば春日なる御蓋の山にいでし月かも(安倍仲麿)
わが庵は都のたつみしかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり(喜撰法師)
花のいろはうつりにけりないたづらに我身世にふるながめせしまに(小野小町)
これやこの行くも帰るも別れてはしるもしらぬもあふ坂の関(蝉丸)〔ほか〕

著者等紹介

高橋睦郎[タカハシムツオ]
1937年(昭和12年)、福岡県生まれ。福岡教育大学卒業。詩人
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

103
娘が競技かるたをやっている。かるたというといろはがるたの印象しかないし、百人一首は一体何が書かれているのかさっぱりわからず。しかし試しに一句覚えてみたらなかなかおもしろい。いろいろな百人一首の本を読んでいる。小学生向けのものからマンガ形式のものまで。このほんは詩人の高橋睦郎氏によるもの。氏の海外の詩も例えながら書かれている。私にとってはかなり硬派の本田が、じっくりとページをめくる喜びがあると思う。図書館で借りた本なので、ネット中古で手元用に体入れようと思う。2023/04/15

マッピー

15
見開き2ページに歌と作者、そして意訳とその歌の背景や作者の生涯についてが書かれている。この本の特色は、なんといっても意訳の部分。教科書で習ったものとは多分全然違う解釈の歌が多い。あまたある和歌の中から100首を選ぶこと。それだけでも大変な事業だと思うのに、この選集は歌の順番にも意味があるらしい。天智天皇から始まり順徳院で終わる100首。王朝時代のはじまりと終焉。副題の恋する宮廷とは、恋情すら世渡りの手段であり、政治であるということ。全然甘くない恋する宮廷。2018/02/12

かみしの

13
百人一首は藤原定家の手による「恋する宮廷の柩であり、墓」である、という。和歌の研究では、本来の意味、作者の同時代的な解釈を行うことが多いけれど、高橋さんはそもそもアンソロジストとしての藤原定家を「第二の作者」として、後読みの概念を取り入れる。そして、源実朝をランボーと比較したり、小野篁とシモーニデースと類したり、「第三の作者」としてふるまう。業平の「ちはやふる」を「血はや降る」と解釈してみるところなどは、そんな大胆なことをやってのける態度に勇気づけられ、自らも「第nの作者」であることに気づかされる。2018/03/20

夏野菜

6
これが教養というものなのだろう。人口に膾炙した百人一首を現代から古代ギリシャ、洋の東西を問わず俎上に上げて解釈しまくる。なんたる教養。そして、百人一首はなんと豊かなんだろう。著者は詩人。短歌も嗜む。短歌パラダイスでお馴染みの伝説的な歌会の判者を務めた。2014/05/05

3
超訳なので学術的な信憑生は薄いが、それぞれの歌の作者の小ネタを挟んだ解説が面白い。百人一首を通して読んでみたい人には勧められる一冊。2017/06/28

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