中公新書<br> 民俗学の熱き日々―柳田国男とその後継者たち

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中公新書
民俗学の熱き日々―柳田国男とその後継者たち

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  • サイズ 新書判/ページ数 182p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121017338
  • NDC分類 380.1
  • Cコード C1239

出版社内容情報

黎明期の日本の民俗学が持っていた詩的表現力はどこへ行ってしまったのか。柳田の後を鋭利に検証する。

内容説明

柳田国男は、歿後四〇年を過ぎても、いまだに日本の学問・思想界に絶大な影響力を保っている。しかし、彼が独力で開拓したと言っても過言ではない民俗学は、その後、独創的な継承者を得られず、彼一代の学問として燦然と輝いているのである。本書は、民俗学の黎明期にあった柳田の詩的な精神が、民俗学者ではなく、むしろ異分野の研究者、思想家、作家などに受け継がれていった経過を、丹念に追跡する試みである。

目次

第1章 柳田がみずからを語る―神秘体験、その他
第2章 郷土会
第3章 柔軟な組織について
第4章 周辺の人々
第5章 古希に集う
第6章 読者群像
第7章 実践者のゆくえ―橋浦泰雄、太地への道
第8章 引き継がれる詩人像―永瀬清子『諸国の天女』

著者等紹介

鶴見太郎[ツルミタロウ]
1965年(昭和40年)、京都府に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士課程(現代史)修了。国立民族学博物館外来研究員を経て、現在、早稲田大学文学部専任講師
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

38
戦時中の柳田がなぜ国粋主義にいかずにすんだのか、初めて得心いった気がする。<事実に立脚する方法論>と<人物自体に信を置いて行動する姿勢>。東京や京都では今西錦司や中野重治ら異分野の知識人たちがそんな柳田に軸を見出し、地方では宮本常一らが学問の心を掻き立てられる。そして、その人々がまた、民俗学を支えていく。だからこそ成り立った、「モヤヒ仕事」=貸し借り前提にしない共同事業。まさに、熱き日々。◇頭に浮かぶのはトキワ荘の面々、コミケにボカロの草創期。ウチらええ伝統もってるやん。◇最後の章の岡山の詩の先生も素敵。2016/04/25

うえ

14
「『展望』で行われた座談会「進歩・保守・反動」において、柳田は…論者が題名のどれに属するのか、はっきりさせてから話を始める方がよいと主張し、自身を保守、桑原・中島健蔵を進歩、そして天野貞祐を反動と位置づけた…不満な天野に対し、柳田は「あれ(教育勅語)をありがたがっているようでは、どうしたって反動ですよ」と断言した」「花田が柳田に強く惹かれ始めたのは、必ずしも早いわけではない。「アヴァンギャルド読書法十五年」の中で花田自身が述べた読書歴に、「柳田国男の著書を手あたり次第に読み、『革命と伝統』を書く」とある」2018/05/02

さえきかずひこ

13
柳田国男の打ち立てた学問が、一国民俗学となり、権威化していくなかで、民俗学そのもののいとなみは衰えていくが、その学識と人物、文学的・詩的なセンスに触発された他の人々に彼の本質が発展的に受け継がれたことを素描する一冊。とくに、柳田、中野重治、桑原武夫らによる理想化された"村社会"観を批判した花田清輝、上昇志向をもたず篤実におのれの学問を実践し続けた橋浦泰雄、戦後に出会った柳田民俗学を詩人として昇華した長瀬清子についての記述に著者の熱意がみなぎっている。一部内容は同著者の『柳田国男入門』と重複しているが好著。2019/12/29

iwasabi47

4
著者の業績便覧みたいな所がある。これ参考に各論読むのがいいと思う。 学問の祖の人間関係の面白さはフロイトなんかに通じるかな。2020/04/07

ホンドテン

3
図書館で。宮本常一の位置を知りたくて今更書架から取る。副題の通りの内容、山口昌男が「弟子なし」が喝破した民俗学の始祖のそうでもない所の紹介。農学の先輩、新渡戸は当然として、創価学会創始者、牧野から共産主義者まで交流の広さ、影響の大きさに改めて驚く。著者曰くの90年代の柳田批判を把握してないと、趣旨を読み違えるかもやはり著作含め研究も追わなければ…。2015/09/08

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