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中公新書
眠りと文学―プルースト、カフカ、谷崎は何を描いたか

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  • サイズ 新書判/ページ数 232p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121017536
  • NDC分類 902.3
  • Cコード C1298

内容説明

スタンダールの言葉にあるように、小説=フィクションは人生を映し出す鏡でなくてはならなかった。しかし二〇世紀は、この鏡の姿に魅せられ、フィクションに対する現実の優位性がぐらつき始めた時代となった。それはプルーストとカフカとともに始まり、谷崎において“現”という特別な形で現れている。眠りの次元を取り込んだ彼らの作品を読み解き、人間の存在と意識に投げ掛けられた新しい光を浮かび上がらせる。

目次

1 プルースト(目覚めの暗闇;入れ子状の寝室 ほか)
2 カフカ(既視感のなかから;不気味さ ほか)
3 プルーストとカフカと“現”(世界を新しく定義し直した二人;電話 ほか)
4 谷崎の“うつす”世界(谷崎のアクチュアリティ;小説『細雪』 ほか)

著者等紹介

根本美作子[ネモトミサコ]
1967年、東京に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科表象文化論専攻博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科表象文化論学術博士。津田塾大学学芸学部専任講師等を経て、現在、明治大学文学部専任講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

LUNE MER

14
プルースト「失われた時を求めて」、カフカ「城」、谷崎潤一郎「細雪」という一見タイプがバラバラの作家・作品を眠り・現(うつつ)という軸で並列して語っているところが本書の面白さ。「失われた時を求めて」を読んだ後に本書を読み、既読だった「城」の分析に「おぉっ」と感嘆し、未読であった「細雪」が気になる存在となった。少し時間は空いたものの先日「細雪」を読了し、本書を再読。三作品全てを読んだことで本書の理解度も少しは上がったかな?そして「城」をまた読みたくなったので近く再読予定。2021/10/11

浅香山三郎

11
著者は、村上陽一郎編『コロナ後の世界を生きる』(岩波新書)の書き手のひとりでもある。20世紀は、フィクションに対する現実の優位性が揺らぎ始めた時代だと捉へ、眠りの次元を組み入れた文学作品を分析する。プルースト、カフカ、谷崎潤一郎の三人の作品が分析対象で、眠りのほかにも、現実の「一回限り性」を揺るがす、写真や映画、距離の概念を揺るがす電話、鉄道といつた要素も、彼らの作品に新しい現実を与へてゐるといふ。とくに、『細雪』といふ小説の背景にある〈現〉なるものを巡る分析を読むと、谷崎が『源氏物語』を訳した仕事と↓2022/01/23

LUNE MER

11
某テーマパークのアトラクションの待ち時間だけで読破してしまったことが今後も決して無意識になることない記憶として留まるであろう予感。夢の国だけに、ね。著者の説明の軽重のバランスがあまり好みでなかったためか、「失われた時を求めて」「城」「細雪」の特定の箇所の執拗な読解解説という印象が強かったかな?しかし、これらを一連の流れで結びつけた着眼点は面白し。2019/12/29

Tonex

10
途中で挫折。というか中断。これを読む前に、まずプルーストの『失われた時を求めて』と谷崎潤一郎の『細雪』を読んだ方が良い。(カフカの『城』は既読。)2016/01/20

wearex

3
プルーストの大作を不眠症物語だという認識しかしていなかったが、好きな谷崎やカフカと関連付けて読めたことで、関心が高まった。現(うつつ)を通して初めて夢や眠りを意識する。『陰翳礼讃』などもなるほどそういう視点だ。プルーストの幸福感、カフカの怖さとい2016/12/25

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