中公新書<br> 道元の和歌―春は花 夏ほととぎす

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中公新書
道元の和歌―春は花 夏ほととぎす

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  • サイズ 新書判/ページ数 175p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121018076
  • NDC分類 911.142
  • Cコード C1215

出版社内容情報

「春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり」曹洞宗の開祖道元が詠んだ和歌47首を鑑賞し、その生涯と思想をたどる。

内容説明

曹洞宗の開祖道元は、すぐれた歌人でもあった。良寛や川端康成が愛誦した「春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり」も道元の作である。新古今集の歌人・慈円を大叔父に持ち、後鳥羽院宮内卿らと親交を結んだ道元にとって、歌を詠むことは自らの人生に欠かせない営為であった。いまに伝わる四九首を、その生涯や思想をたどりながら鑑賞する。一見平易な歌の中に込められた道元の深遠な思いが浮かび上がる。

目次

第1章 本来の面目―春は花・夏ほととぎす
第2章 深山の奥―山々と交わって生まれる自発心
第3章 季節の歌―道元の数奇
第4章 菩提とは何か―道元の日常1
第5章 生死事大―道元の日常2
第6章 祖師禅の来し方―鎌倉教化
第7章 心月孤円―道元にとって月とは
第8章 最後の中秋―命終を前にして

著者等紹介

松本章男[マツモトアキオ]
1931年、京都市生まれ。京都大学文学部文学科卒業。著述業、随筆家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

禿童子

18
「春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり」という有名な和歌の作者が道元禅師ということは本書で初めて知った。育ての父として名前が挙がっている源通具(みちとも)が『新古今和歌集』の撰者の一人であり、幼少期に歌作の手ほどきを受けているとして、さらに著者は夭折した女流歌人・宮内卿への思慕が道元の和歌に隠れていると推測している。その議論の下敷きとして法然とその心の妻・式子内親王を引合いに出している。私の初見の素朴な感想だが、確かに新古今調ではあるが芭蕉の俳諧に通じるレトリックの妙が禅師の歌に感じられた。2018/04/17

ひよピパパ

6
鎌倉時代の宗教家・思想家である道元の和歌を紹介した書。道元の詠じた和歌が、背後に流れる当時の和歌の伝統を踏まえながら、仏の教えを盛り込んだもので、どれも味わい深い。道元の生い立ちに合わせて歌が配列されているので、道元の一生を知るという意味でも、本書は面白い。「春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり」。本書では言及がなかったが、「梅花力」を言う道元にあっては、「花」は梅のことではないかと思わずにはいられなかった。2017/01/22

しんすけ

5
正法眼蔵の「眼」は「賤民への暖かき眼」を意味するでないかと、かってに解釈している。「しづの男の垣根に春の立ちしよりふるのに生ふる若菜をぞつむ」ここに「しづ」とは「賤」であり、いまで云う庶民へのことである。中世の庶民とはすべてが貧しいものだった。今でも変わらないか。。。本書には下記感慨が付加されている。「この男性も数日前には「垣根に小菜を」摘んだのであろうか。道元はそんな想像をもしながら、常民の男性が若菜を摘むふるさとの野へ、にこやかに目をあてている。」胸中は不明だが、そこには我は存在しない。2018/04/07

暗頭明

4
峰のいろ谷のひびきも皆ながらわが釈迦牟尼の声と姿と:                                                「渓声山色は自己の正体そのものである」「この自然と自己とが回光返照する妙境」(p.33)2015/03/14

佐藤一才

2
道元って人は冬の詩人なんだ。松岡正剛がそう言ってまして、私の好きな季節は冬。思わず共感してこの本を読みました。冬は命の落ちる季節であり、命は力を蓄える時期であって、その季節に“生”を見やすいのだと、道元の和歌を読みながら思いました。そして、その“冬”が様々なものに置き換えられた時、道元の和歌というのは人生において過渡期のバイブルになるのではなかろうか。個人的ながら大殺界の年に読んで良かったと思いました。2012/11/27

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