オトメの行方 - 近代女性の表象と闘い

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オトメの行方 - 近代女性の表象と闘い

  • 川村邦光
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 紀伊國屋書店(2003/12発売)
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  • サイズ B6判/ページ数 318p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784314009515
  • NDC分類 367.21
  • Cコード C0036

出版社内容情報

女性の身体イメージの変遷を探る。図版多数

 与謝野晶子とモダンガール、中原淳一と彼の描く乙女像に熱狂した女子学生、そして美智子妃、樺美智子、大島みち子という「三人のみちこ」、吉永小百合――激動の20世紀に女性の身体やセクシュアリティはいかに表象され、語られたのか。「オトメ」という概念を基軸に、女性自身の言葉やメディアの語りの中から、近代日本を生きた女性像の変遷とその闘いを探る。 

★上野千鶴子さん(東京大学教授)「私のおすすめ」(「i feel」出版部50周年記念号より)★
「 川村邦光さんの「オトメ三部作」が完結した。この人の専門はいったい何だろうか? 最初は女性史家かと思っていたが、民俗学者として出発したというし、最近では戦死者の研究をやっている。それにしても達者な人だ。
 『オトメの祈り』が刊行されたとき、戦前の女性誌の読者のお便り欄に目をつけるという着眼点のよさに一驚した。そして、やられた、と思った。「男のくせに」という差別発言まで出そうになった。メディアのオモテに出にくい女性大衆の声を拾い、読者研究をやってのけたのは、女性誌ジャーナリズム研究の中でも先駆的であり、カルチュラル・スタディズの受容論を先取りしていた。しかもどの著作も、抑圧的でも解放的でもある「女の近代」へと女性自らが共犯的に関与していく能動性が描かれている点で、ポスト構造主義のエイジェンシー論と響き合ってもいた。巻末の文献リストを見ると、女性誌関係の文献がえんえんと並んでいるが、この人をこれだけ女性誌に耽溺させたエネルギーは何だろう? 大塚英志がM君をさして「少女になりたかった男」と呼んだが、この人もそうとうにオタクだったのだろうか?」

2004年掲載
京都新聞1/18、信濃毎日新聞他(共同配信)1/11

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「女性にとっての近代」を問い直す  川村邦光の本


中原淳一のオトメ像、
正田美智子、樺美智子、大島みち子
激動の近代~戦後社会を生き抜いた、
「オトメ」たちの軌跡

オトメ三部作、完結編

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はじめに
    ◇オトメの行方
      髪とセクシャリティ/  エロスの身体へ/  ”蝶”のように
      モダンガールの生態/  電車のなかでも、化粧を/  これがモダンガールか
      モダンガールの表層とディスクール

第1章 オトメの願い  清純なロマンとオトメ文化
    ◇淳一のオトメ像
       オトメの現在とは/  オトメのイメージ
       弱々しいオトメ/  清純なロマンと軍国乙女/オトメの戦中

    ◇淳一の誕生
       クリスチャンとして/  ”女の家”で/  夢二の人形展/  淳一の人形展

    ◇夢みるオトメたち
       モンペ姿を描く必要はない
       オトメ文化の政治性/  ”夢みる瞳”の行方/  ”同性の愛”の眼ざし

    ◇”同性の愛”とオトメ文化
       姉妹の誓い/  シスター(S)の世界
       ”同性の愛”事件/  ”同性の愛”物語/  自然に反逆する子たち

    ◇清純なロマン”同性の愛”
       アブノーマルな”同性の愛”/  三原山事件
       永久にわかやかに/  ”制服の処女”のように
       ”同性の愛”は自瀆行為/  らいてうは語る/  結婚を否定する
       清純なロマンの行方/  反逆へのメッセージ

第2章 オトメの再生  工夫の淳一から革命の羊子へ
    ◇ひまわりの時代へ
       太陽の子ひまわり/  清潔さと美しさ
       『ソレイユ』創刊/  戦争よ! さようなら/  窓辺に一輪の花を

    ◇淳一の美しさへのプラクティッス
       『ソレイユ』の読者たち/  自分らしい美しさ/  工夫から出発
       ”ロマンチックな美しさ”を/  オトメのスタイル
       ”貴女の美しさ”を/  身体のラインをシックに
       流行とは/  ”ロマンチックな夢”を/  新しい身体感覚のスタイル

    ◇下着からの革命  淳一と羊子
       下着への眼ざし/  洋装下着への道
       レディとしての身体技法/  衛生を考慮せよ
       ”自然”というコード/  ジュニアの下着調査/  体の線を美しくする
       鴨居羊子の出現/  羊子の下着文化論/  下着の革命/  女の解放
       女の身体/  セクシュアリティの奪還/  淳一から羊子へ

第3章 ロマンスとシンデレラ物語  三人のみちこ、青春物語(Ⅰ)
    ◇『青い山脈』の青春群像
       三人のみちこ/  『青い山脈』と『リンゴの唄』/  希望のシンボル、リンゴ
       民主主義やで/  民主化と男女交際/  汚らわしい性
       ダンスと社交/  語られない「性の問題」

    ◇テニスコートのロマンス神話
       美智子の学園時代/  太陽族と性典映画/  ”愛と智”の美智子
       孤独な皇太子/  テニスコートのロマンス/  プリンスの恋

    ◇プリンセス誕生へ
       ロマンスの名のもとで/  恋愛/  宗教の問題
       ”柳行李ひとつで”/  ”瞳の光”で”愛情の深さ”/  ミッチー・フィーバー
       反復される視線/  マッカーサー新憲法

    ◇粉屋の娘/現代のシンデレラ
       メディアのなかの妊娠と出産/  聖母子像のイメージ
       新婚家庭と愛の結晶/  嘆きのシンデレラ
       皇室とキリスト教/  苦難の終焉と聖家族

第4章 オトメからの訣別と闘い  三人のみちこ、青春物語(Ⅱ)
    ◇美智子の始まり
       毛主席は讃えた/  涙するオトメ
       ”最後に微笑みたい”/  十七歳の美智子

    ◇美智子の闘いと死
       痛みの体験/  日共脱党/  ブンド加盟
       美智子の安保闘争/  美智子の死/  慰霊される純粋な美智子

    ◇身体/暴力の語りと表象
       五・一九の抵抗とは/  全学連の”頭脳”と”肉体”
       暴力の身体、全学連/  銃と対峙する沖縄

    ◇葬列と学徒兵・特攻隊の記憶
       わだつみの底から/  甦る”わだつみの声”
       全学連・美智子の死と学徒兵・特攻隊

    ◇踏みにじられた花とオトメ
       田辺元と南原繁の弔辞/  純粋な美智子
       歴史の花・六月のバラ
       踏みにじられた白い花/  純粋の身体という表象

第5章 愛と性のなかのオトメ  三人のみちこ、青春物語(Ⅲ)
    ◇小百合の『愛と死をみつめて』との出会い
       乙女チックから強く生きることへ/  オトメ心をふっ切って

    ◇みち子の青春と闘い
       オトメの顔/  みち子の苦境と闘い/  絶望の淵より
       いつも心に笑みを/  この愛をいずこにうずめん/  みち子の死

    ◇『愛と死をみつめて』の成立とテーマ
       『愛と死をみつめて』の成立前史
       『愛と死をみつめて』の成立/  愛と死のモティーフ/  幻想の愛

    ◇純愛物語とセックス・ブーム
       純愛物語と純愛路線/  純潔という規範
       結婚のあきらめ/  『性生活の知恵』とセックス・ブーム
       セックスへのオブセッション/  婚前性交というテーマ

    ◇愛と婚前交渉
       友情から愛情へ/  純潔論/  婚前性交論の花盛り
       婚前性交の潮流

    ◇純潔とオトメの行方
       純潔とは/  ”純潔の証”とは
       みち子の純潔観/  オトメの純愛物語/  小百合の行方

おわりに
    ◇オトメの闘いとオンナ共同体
       生け贄のオトメたち/  二人のみちこを継ぐ
       人類のための戦ひに/  女の闘いへ
       オンナ共同体へ/  オトメ共同体の終焉