出版社内容情報
後記で、初版の出版以降の関連性理論の主要な発展を概観し、定式化、内容の両面を若干修正するための議論がなされている。
内容説明
「関連性」という単一の原則で言語伝達を捉えなおした原著の全訳。原著は出版以来、言語学をはじめ関連諸分野に大きな影響を与えてきた。第2版では「後記」が付け加えられた。そこでは初版出版以降の関連性理論の主要な発展が概観され、定式化、内容の両面を若干修正するための議論がなされている。更に本文への新たな注、後記への注が加えられ、参考文献も一新されている。
目次
第1章 伝達(コードモデルと伝達への記号論的接近法;言語理解におけるコード解読と推論 ほか)
第2章 推論(非論証的推論;論理形式、命題態度、事実的想定 ほか)
第3章 関連性(関連性の条件;関連性の程度:効果と労力 ほか)
第4章 言語伝達の諸相(言語と伝達;言語伝達、表意、推意 ほか)
感想・レビュー
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roughfractus02
10
文は意味するが、発話は思考を伝える。が、同じ文は異なる発話(表情、身振り、トーンの違い)で伝えることが可能だ。明示的表現と明示されない考えが同時に伝えうるということは、受け手が認知して解釈を生む可能性を作る。本書は、言語を意味論から語用論にシフトさせ、情報伝達の際には全くのランダム性ではなく蓋然的な前提集合が必要になると説き、この集合を「文脈」と呼んだ。著者たちはコミュニケーションの諸問題を、意味の正確な伝達から蓋然的な伝達に移し、言語をコードと意味性から情報の認知と解釈が関連する非論証的な場に置き直す。2024/04/21