内容説明
家業の牧場を騙し取られ非業の死を遂げた父。最愛の女性にも裏切られ、孤独と絶望だけを抱え19歳の夏上京した柏木圭一は、26年の歳月を経て、政財界注目の若き実業家となった。罪を犯して手に入れた金から財を成した柏木が描く復讐のシナリオ。運命の歯車が狂い、ひとりひとりの人生が軋みだす…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さと
78
ふぅ…。つくため息も重い。人を復讐に駆り立てるものは、怒りや恨み、悲しみや絶望ではなく、愛だと思う。何より人を愛し、信じるからこそそのエネルギーが凶器となる。私は柏木として読んでいるのだろうか、それとも一馬として読んでいるのだろうか。きしみ始めた歯車が大きな音を立て始めた。ばらばらだったピースがそれぞれに動き始め構図を見せ始めた。 下巻へ2016/05/15
chiru
33
過去がある男性が主人公。すごく昔に読んだので、細かいところは忘れてるけど、ストーリーは、ミステリーと純愛と罪と復讐がテーマでちょっと多すぎな気もするけど、保身を考える主人公は『砂の器』を連想させます。でも、読んでる間は、のめりこんで一気読みしたことを覚えてます。★32017/12/04
momo3626
18
おもしろい!いろいろな、伏線が、絡みあい、グイグイひきこまれ一気読み。柏木に、ジリジリ迫る追手の包囲網、息をも詰まる展開へ。久し振りに、長編大スペクタクル感満載の予感!急いで下巻へ2014/11/02
山口透析鉄
17
図書館本で一気に読みました。帯に梁石日氏が書いていた通り、論理の歯車が噛み合うように、見事なギリシャ悲劇的な連鎖が発生しますね。この頃の幻冬舎は良かった、と率直に思います。今はどうかな?と思う作者の本も少なからず出す出版社に堕してしまいましたが。 経済小説、警察小説としてもかなり良いと思いますが、白川氏の作品も結局、今のところ、実はこれしか読んでいないのが残念です。2001/12/15
かえるのこ
9
26年前、北の大地に蒔かれた悲劇の種子。孤独と絶望を抱えた柏木圭一は、巨大な財力を築き、金だけを武器に壮絶な復讐の階段を昇り始めるが、運命の歯車が狂い、ひとりひとりの人生が軋みだす… 物語の半分ですが、柏木と亜木子との愛の漂着点はいったいどこなのか?亜木子の娘、未央との関係は? ますます興味を惹かれます。 感想は(下巻)読了後に・・・2013/10/20