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内容説明
本巻では吉田博の水彩画を多色刷り図版で収録した。収録作品は編集上やむをえない場合を除き、制作年順に配列した。
目次
１ つるべ井戸
２ 中禅寺日光
３ 池畔
４ 船津
５ 田中
６ 養沢西の橋
７ 野田
８ 前橋招魂社付近
９ 浅間山
１０ 池の鯉
１１ 昨夜の雨
１２ 小出雲村月出
１３ 晩秋風景
１４ 滞船
１５ 牧場
１６ フロリダの熱帯植物
１７ ロイヤル・ポインシアナ・ホテル
１８ ポンシデレオン旅館の中庭
１９ 新月
２０ 干潟の夜
２１ 木立
２２ 月見草と浴衣の女
２３ 雲表
２４ 別府の池
評伝 水彩画家としての吉田博
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
29
巻末の評伝に、漱石の『三四郎』から、「長い間外国を旅行して歩いた兄妹の画」を三四郎と美禰子が眺めるシーンが引用されており、その兄妹が吉田博と義妹のふじ（後に妻）だという。つまり、こういった吉田博の水彩画を漱石も見ていたことになる。絵の横に付された解説には、厳しくもところどころで構図やデッサンの甘さが指摘されているが、それは吉田の真正面から取り組んだ真っ正直でごまかしの一切きかない画風のせいでもあるだろう。自然と人間の媒介・繋ぎとなることに専心した彼のひたむきさもまた、持って生まれた才能なのだ。2017/03/28
