感想・レビュー
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NAO
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「静かなるドン」上巻。戦争に駆り出され、その戦のさなかに革命が起きつつあることを知ったコサック兵たちの動向が描かれていく。最初は皇帝がいなくなってもまた同じような誰かが支配権を握るだけで自分たちの生活は変わりはしないと考えていたコサックたちも、徐々に、自分たちの行く末を真剣に考え始める。いったんは革命に賛同しボリシェビキとして活動しながら、次第に中農階級としての自分の資産にも未練を持つようになってしまったグレゴーリイの不幸は、当時の支配階級でもなく貧農でもないという立場の人々の逡巡をそのまま表している。2018/05/26