出版社内容情報
魔法使いの父と2人きりで暮らしてきたむすめは、会ったことのない母親や、自分の名前のことが知りたくなりました。
6歳から
内容説明
むかしまほうつかいと、そのむすめがくらしていました。むすめは、長い間、父親とふたりきりの生活だったのでふと、母親のことを知りたいと思うようになりました。そして“むすめ”としか呼ばれない自分のなまえのことも…。1987年ケイト・グリーナウェイ賞佳作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
141
タテ29cm,ヨコ23cmの大判絵本。お話はアントニア・バーバー。ベトナム戦争の孤児であった養女をヒントに書かれたらしい。物語はシンプルだが、途中には「夢応の鯉魚」を思わせる魚への変身譚があったりと、幻想性には富んでいる。しかし、何よりもそうした幻想を豊かに支えているのはル・カインの絵。ベトナム色には乏しいが、全体にオリエンタルムードが溢れ、色もきわめて鮮やかな夢の世界が展開する。水墨画風の絵をはじめ、中国モードが主流をなすが、主人公の「むすめ」は、王朝のお姫様のようだ。密林の絵が篇中ではベスト1か。2013/12/07
KAZOO
112
これは従来見てきたル・カインの絵であまり違和感がなく読みました。ただいつもは西洋的な感じをするものが多いのですがこれはベトナムの話のようです。物語を追うよりも絵を眺めているだけで私は至福の境地になれます。色彩もいいしかかれている景色も楽しめました。2017/08/01
Natsuki
69
西洋と東洋が溶け合ったような美しい絵(*´∀`)♪何不自由なく何ひとつ知らされずに、まほうつかいと二人きりで暮らしてきた「まほうつかいのむすめ」。時折夢に見る遠い昔に呼ばれていた名前の微かな記憶。いつしか娘の心の中は、自分は何者でどこから来たのか?宮殿の外、谷の向こうには何があるのか?そんな疑問でいっぱいになる。「幸せ」について考えたくなる一冊でした(*´ω`*)2015/12/11
あん
65
とても美しい絵本です。東洋と西洋が融合した幻想的な絵と、文の虜になりました。著者はベトナムから迎えた養女のためにこの物語を書いたそうです。異国からやってきた少女のために、人の世で幸せを見つける術を語った優しい物語です。 2014/11/16
♪みどりpiyopiyo♪
50
むかしむかし、世界のてっぺんにある白くつめたい国に、ひとりのまほうつかいと、そのむすめがすんでおりました… ■ エロール・ル・カインのオリエンタルな美しい絵に惹かれて、不思議なお話を読みました。2人きりで生きてきた娘に芽生える自我。自身の過去と父への疑念。■知恵と意志と愛が幸せを手繰り寄せるお話でした。チ・フィ・エン よかったね (ღ′◡‵) (1987年。1987年ケイト・グリーナウェイ賞佳作)(→続2020/01/06