内容説明
本書では、主に平城京を取り上げて、日本古代都市の様相を探ることにする。平城京は奈良盆地の北端に築かれ、「あをによし寧楽の京師は咲く花のにほふがごとく今盛りなり」と『万葉集』に詠われたが、実態はそういえるようなものであったのか、そこにはどのような人が住み、どのような生活を営んでいたのか、周辺に広がる農村地帯とどのような関係にあったのか、またどのような点で農村と異なっていたのか、などを明らかにする。
目次
1 平城京への遷都
2 平城京の都市計画と住人
3 平城宮の実相と官人
4 商業者の世界
5 平城京と地方とのつながり
6 都市の苦悩と祈り
著者等紹介
舘野和己[タテノカズミ]
1950年生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。専攻、日本古代史。現在、奈良女子大学文学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HMax
24
「あおによし 寧楽のみやこは 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり」幅70m以上の朱雀大路に25mの朱雀門、巨大な都。そんな人工的な都の道路に子供の再生を祈って埋められた甕櫃、千三百年前も今も子供を思う親の気持ちは同じ。2020/05/31
Mentyu
4
リブレットシリーズというだけはあり、よくまとまっている。2001年刊行なのでちょっと古くなっているけれども、平城京についてざっと知りたい時には重宝すると思う。個人的には、物品で税収を賄う律令国家にとって、交換財をもたらす商業者が大切にされ、現物経済の場として「市」が重視されていたという話が気になった。これについては、いずれ、もう少し突っ込んで調べておこうと思う。2017/08/20
スズツキ
3
約10万人と推測される平城京の詳細。たとえば中世パリのごとく綺麗とはいえない状況などは初耳で面白かった。有名な長屋王低についても出てきます。2014/05/24