内容説明
江戸時代の天皇は、他の時代と比べて姿が見えないといわれます。姿の見えにくかった天皇や朝廷の存在は、どのようなものであったのでしょうか。本書では、江戸時代における天皇や朝廷の位置づけ、役割・特徴などを、幕府の政策を中心にすえて具体的に描くとともに、それほど無力であった天皇・朝廷が、なぜ幕末に浮上して、王政復古という形で明治維新が行われるに至ったのか、その理由を明らかにします。
目次
姿の見えない天皇
1 幕府による封じ込め
2 朝廷の統制機構
3 朝廷を構成する人びと
4 朝幕協調の時代
5 朝幕関係の破綻
6 朝廷権威の浮上
著者等紹介
高埜利彦[タカノトシヒコ]
1947年生まれ。東京大学文学部卒業。専攻、日本近世史。現在、学習院大学文学部教授
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感想・レビュー
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アーサー
7
江戸時代の幕府と朝廷の関係についてわかった(気にさせてくれる)良い本だった。100ページ余りのコンパクトさがよい◆江戸時代が平和だったから天皇の影が薄いという認識は少し変化した。平和がベースにありつつ、むしろ、幕府が二重の統制機構を使って天皇に権力を握らせなかったという印象になった◆朝廷秩序が緩み始めた兆候として、公家が禁裏小番(御所の警備)をさぼるというのが生々しい笑◆次はこのシリーズの「徳川家康」を読んでみたい2023/02/13
アーサー
7
初読。流し読み◆江戸時代は天皇の姿が見えにくい。無力だった天皇・朝廷が幕末に浮上し王政復古という形で明治維新に至った。その理由を明らかにする、という◆言われてみれば江戸時代の天皇知らないなぁ、くらいの知識しかない自分でも読めそう◆精神科医の中井久夫は天皇についてこう言う"日本が非常に成熟安定した時には、あるかなきかの存在になってよいのであり、現に江戸時代にはそうなった"◆このシリーズの『徳川家康』が見当たらなかったので代わりに本書を手に取る。サイズ感とレイアウトは100分de名著のテキストと似ている2023/01/18
OjohmbonX
2
以前、熊倉功夫 『後水尾天皇』を読んで、江戸時代初期に天皇・朝廷がどのように幕府によって体制に組み込まれて、政治的実権から疎外されていったか、そこにどう抵抗/順応したかなどの話が面白かったので、ではその後の幕末にかけて朝廷が何をしていたのか、どういう組織体で意思決定をしていたのか、といった点を補助的に見たかったので、その意味ではコンパクトで最適な本だった。2020/08/24
sovereigncountr
1
近世朝幕関係の見取り図を示した入門書。通史と制度史のバランスが良い。2024/01/22
こずえ
0
山川日本史書いてる方の著作。 江戸時代における幕府と朝廷の複雑な関係の入門書といったところ