内容説明
江戸時代は「村と百姓の時代」であるとともに、「都市の時代」でもあった。その都市の発展は、非人と呼ばれる人びとをも生み出していった。巨大都市大坂では、はたしてどのようにして非人集団が形成されていったのだろうか。また乞食=貧人として生み出された彼らは時代とともに大きな変容を遂げていく。それはどのような理由でどのように変わっていったのだろうか。非人と呼ばれた人びとの実態に目を凝らしつつ、近世の都市社会の特質に迫る。
目次
「都市の時代」と非人
四ヶ所垣外の成立と垣外仲間
垣外仲間の周縁
身分内法と垣外仲間の構造
非人の御用
非人の勧進
近世社会と大阪の非人の特質
身分的周縁の視点
著者等紹介
塚田孝[ツカダタカシ]
1954年生まれ。東京大学文学部卒業。博士(文学)。専攻、日本近世史。現在、大阪市立大学大学院文学研究科教授
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感想・レビュー
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sfこと古谷俊一
3
初期の大坂の非人/垣外仲間と現代におけるホームレス/スラムの類似点を色々と感じた。後期の身分としての非人は、ショバ持って勧進受ける利権を継承してくあたりや、新たな流入者の管理監視を行うあたり、ヤクザみたいだなと思ったり。転びキリシタンは公的に何世代も追跡されていた史料があり、それをみると、地方から流れてきたのだったり、農村に定住して農民になったりと、本来は流動的なもんだったんですな。2009/09/08
chang_ume
2
集団を支配の基礎単位とした近世について、大坂の非人集団「四ヶ所長吏」から身分社会と都市社会の特質を描く。所有からの疎外態=生活困窮者(貧人・乞食)だった非人身分が、江戸中期後半を画期に所有主体(垣外番株・家屋敷の家督化、町家への人別移動)へと変化するさま。さらに野非人排除を目的とした事実上の勧進権設定が、警察機構内部に制度包摂されてゆく。地域を支配単位とした近代とは、大きく異なる社会像が描き出されました。被差別身分が生む排除・包摂の両義性は、近世社会の核心的理解へと進むものです。2016/08/15
らっそ
0
江戸と比較しながら考えたかったけど、知識が足りなかった。周辺情報が必要。2017/02/11