内容説明
海運史・港湾史の研究は、まだまだ研究蓄積の浅い分野です。ということは、これから新しい発見がおおいに期待できる分野でもあります。また船や港の研究は、専門の研究者だけでなく、多くの市民的研究者や愛好家によって支えられています。さらに船や港の世界は、実際にそこで働いた方々からの聞取りも重要な研究の手段です。本書は、そうした方々との交流から生まれました。いわば海運史・港湾史の現場を歩きながら、著者が見たり聞いたり感じたりしたことを記したフィールドノートです。
目次
流通史の現場を歩く
1 内海浦を歩く―尾州廻船のふるさと
2 河野浦を歩く―北前船のふるさと
3 兵庫津・和田神社を歩く―北前船と尾州廻船が出会う湊
4 石巻湊を歩く―はるかなる尾張との密接なつながり
5 小堀河岸を歩く―利根川水運の拠点河岸
著者等紹介
斎藤善之[サイトウヨシユキ]
1958年、宇都宮市生まれ。早稲田大学大学院文学研究科日本史専攻単位取得。専攻、日本近世史・海運港湾史。現在、東北学院大学経済学部助教授、文学博士
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
竜王五代の人
3
尾張内海・越前河野・兵庫・石巻・利根の小堀と、各地の湊と、それらから全国へと広がる商業ネットワークについて語っている興味深い本。寺社に奉納された石造物に刻まれた名前が、一種の宣伝でもあり、当然、そこから商人たちの関係が読み取れるというのはなるほどと。河川改修工事で河川の湊の跡が消えうせる中で、利根川本流から切り離されたことで化石のように残った小堀の事例が面白い。2023/02/06
灰猫
2
各地のフィールドワークから海運史・港湾史をまとめた一冊。第三章の常夜灯から当時の商人同士の対立をみた研究が興味深い。金比羅山の奉納物からの考察…面白そう!2012/02/05
こずえ
1
水運史の入門としておすすめ
メーテル/草津仁秋斗
1
かつての日本で大きな役目を担った水上運送について、現在残っている遺物をもと、こと細かに記した本。2016/05/25
ロバーツ
0
日本史リブレットの1冊。内海、河野、兵庫津、石巻、小堀河岸。2024/04/28