内容説明
このごろ、絵を読むことや絵について語ることがはやっている。浮世絵を読むこともはやっている。浮世絵のほとんどは錦絵である。本書ではその錦絵を読んでみようというわけである。錦絵はもともと、見て楽しむ要素と、絵から情報を得てそれを楽しむ要素のふたつを併せ持っていた。絵の発する情報を受けとめ、他の絵と比較し、同時代の史料と照らし合わせ、描かれている内容を読みとる作業は実に楽しい。それは、めぐりめぐって見る楽しみも倍加してくれる。錦絵はどのように読めるのか、どこまで読めるのかを、おなじみの歌麿・写楽・北斎の作品を例に綴ってみたのが本書である。
目次
1 浮世絵と錦絵(浮世絵とは;墨摺絵から錦絵へ ほか)
2 美人画を読む(女太夫の絵;明和期の町娘ブーム ほか)
3 役者絵を読む(役者似顔絵時代の幕開け;写楽の役者絵の再検討 ほか)
4 名所絵を読む(北斎と広重;署名から錦絵を読む ほか)
著者等紹介
浅野秀剛[アサノシュウゴウ]
1950年生まれ。立命館大学理工学部数学物理学科卒業。『原色浮世絵大百科事典』編集嘱託。現在、千葉市美術館上席学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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AKa
3
100ページ足らずだが、その半分近くが美人画。役者絵パートは写楽の第1期の諸作品の考察、そして名所絵は北斎と広重。評判記や番付のような文献史料との突き合わせから見える歴史的コンテクストや、他の絵師の描いた同じモチーフのものとの比較、そして署名や絵具から製作時期を比定する作業など、小冊子ながら「絵の読み方」について語られている。2019/08/12
紫
1
問、浮世絵とは何ぞや? 答、それは江戸における当世流の風俗画。本書は浮世絵をめでるのではなく、周辺史料や署名の移り変わりを参照しつつ、どうやって浮世絵を考証しているかという手引書であります。美人画を通して風俗業界の動向(?)を考察したり、興味深い話題ばかり。それぞれの時世を代表する美人さんたちにリレーのように巻物を渡させるという発想がとても楽しい。残念なのは本文中で採り上げられている絵に対して掲載点数が少なく、どの絵が掲載の図版に対応しているかも分かりづらかったこと。版権の関係かしらん。星3つ。2017/10/10
Sho Tokuhira
0
それぞれの作品に対する検討が興味深かったです。2012/04/22
ひひひ
0
筆者の美人絵に対する熱意は素晴らしい。もう少し美人絵について読んで見たいと思った。2012/04/18
のの
0
リブレットなのでやはりちょと薄いか…2010/12/07