内容説明
〈個性〉〈熱量〉〈他者への同情と共感〉―。これら有島文学の中枢部解明のため、まず主人公を立体的に見すえる。次いで、ホイットマン精神、ベルグソン説、ディオニュソス概念にも照らす。さらに、近代を、原始や中世と対比してもみる。
目次
1 作品の世界(「或る女のグリンプス」論―その根拠的モチーフについて;「宣言」論―ベルグソンの「時間と自由」からの受容を追いながら;「カインの末裔」論―仁右衛門の疎外について;「迷路」論―主人公の地獄遍歴的様相を中心に;「或る女」研究)
2 思想と方法(「惜しみなく愛は奪ふ」〈初稿〉における実感そのままと実感ばなれ;有島文学における夢幻的体験―歩行行動との関連に焦点を当てて;有島武郎における〈滅び〉のヴィジョンの変遷)