内容説明
法による保護がほとんど得られなかった中世では、自力救済の一形態として私戦が行われた。情報収集の人的ネットワークなど自力救済世界の歴史的特徴を具体的に解明。私戦が公戦へと変わる道筋と親族組織の実態を探る。
目次
「私戦世界」の基本概念について―自力救済論の検討から
第1編 中世武士論における公戦と私戦(中世武士論の研究史と問題の所在―「領主制」論再検討の視角から;東国武士団の「社会」と鎌倉幕府―「もののふの道」「つはものの道」展開史論;鎌倉前期・中央政変の動向と地域社会の展開―自力救済世界から見た「建保の乱」の意義について)
第2編 伝記史料に見る私戦世界の動向(鎌倉幕府草創期における私戦世界と地域社会―妙本寺本『曽我物語』の分析から;東国山間村落の開発と「縁者」の世界―『熊谷家伝記』の検討)
第3編 「縁者」「一家」世界の展開と中世国家(庄郷「領域」の歴史的性格と中世国家―「在所」論の観点から;中世東国国家の形成と武家「王権」の展開―梵舜本『諏訪大明神絵詩』の分析を中心として;オヤ・コ研究の現状と「縁のネットワーク」論の関係―最広義の自力救済世界=私戦世界の展開形態との関連において)
著者等紹介
鈴木国弘[スズキクニヒロ]
1937年東京に生まれる。1961年日本大学文学部史学科卒業。現在、日本大学文理学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。