内容説明
東大寺の造営に生涯を賭した今毛人は、大伴氏と並ぶ古代名族の出身ながら、その名を知る人は多くないが、当時の官人で彼ほど詳細に履歴のわかる人物は史上稀である。本書は奈良時代の政争史を背景に、その西大寺・怡土城の修築や長岡京造営の功績をもあわせて描き、偉大な人材の地味な生涯に始めて照明を与え全貌を活写した。
目次
1 斜陽の名族
2 天平12年
3 金鐘山寺
4 大仏開眼
5 春日野
6 大宰府と怡土城
7 遣唐の大使
8 長岡京
9 礼仏散華
感想・レビュー
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りー
21
佐伯氏は大伴氏の傍流で、当時斜陽だった古代名門の1つ。佐伯今蝦夷(さえきのいまえみし)は、その一族の一人として生まれ、有能な高級官僚として、聖武帝→桓武帝初期の間を22歳で就職してから70歳まで勤めあげた人物。造東大寺長官として多大な功績をあげ、太宰大弐にも二回なっています。遣唐大使になって節刀を賜りながら行かなかった話は有名。59歳で唐へ行けとか、60歳過ぎて太宰府へ行けとか、朝廷の人使いの荒さったら酷いよね、と思ってしまいました。この人の後、交代するように佐伯の血筋から空海が出てくる。歴史の不思議。2021/05/03