内容説明
大原幽学は日本農村の師父、協同組合の創始者と呼ばれる。謎の出生と諸国流寓、のち下総に理想的農民社会の建設途上、幕府の弾圧を受けて自刃する。本書はその一生を、確実な史料に密着しつつ客観的に叙述した最初の幽学伝である。特に幕末の関東農村の事情の中で、農民指導者としての成長を跡付けることに力点がすえられた。
目次
1 なぞの生い立ち
2 関西流浪時代
3 長部村定住まで
4 農民指導
5 渡村一件の発端から自刃まで
略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
6
増田先生が取り上げられていたので、借りてきた。関西流浪の経験がある(18頁~)。社会道徳の教化実践を自らの課題とした(32頁)。二宮尊徳のようである。木曾路の寝覚の床にも訪れたというので急に親近感を抱いた(40頁)。中山道行脚。男はつらいよの寅さん的な感じもするのは勘違いか。貧苦にも屈しない気迫と端正な姿勢(75頁)。宮沢賢治の農民教育に継承したような、農民指導にも熱心だったという(91頁~)。関西での経験が、下総地域で生かされたということは、現代のまちづくりの模式交換か。費孝通氏の内発的発展を彷彿した。2013/02/27