内容説明
室町前期の武将。将軍足利義教と関東公方持氏という二人の権力者の間で、翻弄されながらも調停を試みた関東管領。度重なる諌止を拒否する持氏と対立し、終に永享の乱で心ならずも持氏を死に追込む。乱の終息後、政界を退き、僧侶となって諸国を放浪し、長門国で没する。儒学に志篤く、足利学校を再興したことでも知られる武将の波乱の生涯を描く。
目次
1 曾祖父憲顕
2 越後から鎌倉へ
3 関東管領となる
4 主君足利持氏
5 京都・鎌倉対立のはざまで
6 永享の乱
7 憲実の出家
8 鎌倉を去る
9 足利学校再興
10 流浪の果てに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
組織液
11
一般的には足利学校再興で有名な上杉憲実の人物叢書です。少々古いのもあって近年の研究からはずれている内容もありますが、憲実の一生を辿れる貴重な書籍でしょうね。永享の乱での持氏との決別も悲劇ですが、乱後も本当に悲しい…「上杉憲忠の西御門御所参上をめぐって」を読んだ後だと憲忠の死が一層無念に思えます。臨終の際は何を思っていたんだろうか…いつか山口に行って憲実のお墓参りしたいですね。新潟の雲洞庵にも訪れてみたいです。2024/01/12
吃逆堂
1
室町東国史の数少ない一般書のひとつ。持氏との関係や永享の乱に関するもっと骨太な記述が欲しかった。時代が前後してわかりづらい部分もあった。ところどころ事実を異にする箇所も発見。2009/07/15