内容説明
20世紀初頭、列強の利権争奪戦の焦点となった東アジアのなかで、日本は主動的にロシアとの戦争への道を選択した。この「帝国」の時代を、戦争をめぐるさまざまな側面から描き、民衆が直面した新たな課題を解明する。
目次
戦争への道程
日露開戦へ
日露戦争
日露戦争と国民意識
戦後東アジアの世界と日本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Naoya Sugitani
1
古い本ではあるが日露戦争の基礎知識と当時の日本の社会状況を知るうえでコンパクトにまとまった内容となっている。たとえば日露戦争期における旅順攻略戦の苦戦が陸軍に歩兵中心主義を植え付けたことや、ナショナリズムの高揚と国民の政治への関心の高まりが戦争を通して展開し、それが帝国意識を形成したこと、労働者の中で過労死が頻発する状況が起きたこと等々、今日でも見るべき成果の多い重要な研究である。2017/11/10
しめおん
0
日露戦争前後を概観した本。とても読みやすく、内容がコンパクトにまとめられていていい本だった。戦争に至るまでの外交的な過程と、戦時中の庶民の生活、そして戦後の国内外の変化というのに重点が置かれていると感じた。ナショナリズムの萌芽と考えられてきたこの戦争で、戦前と戦後では意識に大きな差が生まれていたことが興味深かった。ただ、あくまで広く浅くといった感じで、韓国の義兵運動など明らかに説明不足なところがいくつかあったため、そこが残念だった。2022/06/28