内容説明
海賊とは何か。漁民として生活し、海の交易を担った人びとが、同時に「海賊」と呼ばれる存在でもあった。戦国時代の瀬戸内海を舞台に、どの大名にも属さず、独自のルールで海の世界を自由に生きた海賊たちの姿を描く。
目次
海賊とは何か
海賊をどうとらえるか―本書の視点
海賊と海賊衆
海関・海城をめぐって
港・船・海
海と海賊衆―まとめにかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
5
海賊と呼ばれ、自らもそう自称した海に生きる民の歴史を知ることは難しい。生産・定住よりも流通・移動を生業として、陸の民とは異なる歴史を歩んできたからだ。いわゆる海賊行為は、海の民にとっては生業の一つであり、犯罪では無かったことも、彼らの実像をわかり難くしている。この本は、日本の海賊の中心地瀬戸内における、彼らの最盛期である中世の動向を追っているが、海賊自身による資料が無いせいかわからないことが多い。はっきりしているのは、戦国時代の全国統一への動きが、海賊のようなボーダレスな人々の世界を終わらせたということか2011/12/14