内容説明
最後の遣唐留学僧となった円載は、在唐40年仏法を研鑚したが、帰朝の途次万巻の経典とともに大海の藻屑と消えた。唐において円珍と確執を生じ、破戒悪行僧とされた波瀾に富んだ生涯を追跡して千年の汚名をすすぐ。
目次
唐への旅立ち
天台山にて
円載と円珍の出会い
長安への道
円載の悲運
感想・レビュー
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韓信
1
かつて宮崎市定が「留唐外史」において堕落奔放ぶりを活写した、円仁同輩の遣唐留学僧円載の評伝。宮崎御大とは異なり、円珍の記録に見える悪辣な円載像に疑問を呈し、推論を重ねる形のため論証としては弱いが(円珍側の円載憎しのバイアスは存在してそうだが)、日本と細かく連絡をとり修行と書籍の収集に励んだ立派な僧として円載を描き出す。しかし正規の留学僧ではないことへの蔑視や豊智の鞍替え程度で、ここまで円珍が円載を敵視するかは疑問(そもそも豊智の転身の理由も不明)。どちらが史実に近いかは保留にしても、魅力的なのは宮崎説かな2023/07/24
ナオ
0
おそらく『天平の甍』の、写経生のモデルですね。2012/06/24