内容説明
邪馬台国は大和か九州か。女王卑弥呼はどのような人物か。その国の構造はどのようになっていたか?これらの問題の究明は古くから行われている。本書はこれまでの論争を詳細にとりあげ、諸先学の苦闘のあとを紹介し、それぞれの時代に位置づける。
目次
邪馬台国研究のあけぼの(大和・九州両説の源流;偽僭説のはじまり;金印の発見;熊襲偽僭説の発展;邪馬台国大和説の再生)
紀年論争と邪馬台国研究(模索の時代;研究の発展のきざし)
邪馬台国研究の発展(白鳥・内藤両説の展開;白鳥・内藤両説の反響;考古学者の参加;邪馬台国研究の隆盛;研究の行きづまり;生口論争)
唯物史観史学と邪馬台国研究(唯物史観史学の刺激;唯物史観史学者の発言;瘡痍に損われた時代の研究)
戦後の邪馬台国研究(邪馬台国の性格と構造;大人・下戸と王の共立の問題;最近の研究動向)
『魏志』倭人伝引用記事索引
邪馬台国研究文献索引
邪馬台国および倭の諸国の地名比定表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hyena_no_papa
2
数十年ぶりに読む。とは言っても古代史に足を踏み入れた当初の頃で、再読しているような気はせず、所々断片的に既視感を感じるので既読は確かなんだろうと。江戸から明治にかけての論争史は『記紀』を古代史の正面に置くから鬱陶しい。時代の推移とともに合理的探究が進んでいくような気配は感じる。昭和に入ると少しずつ戦後に通じるような研究も姿を見せ始めるようだ。卑弥呼共立の基盤や大人と下戸など社会構成についての考察が上田正昭、井上光貞両氏を中心に進む過程は興味深い。巻末では古田氏の「邪馬壹国」にも触れるが指摘は的確。2023/04/20