内容説明
ハイデガーやサルトルが逸早く現象学から脱却したのに比して、メルロ=ポンティは、フッサールの最も稔り豊かな継承者との評価が高い。彼の哲学の本質は、つねに「端緒の状態」に留まって、自らを見詰め直す点にある。本書では、『知覚の現象学』および中後期の彼の思索を扱った二十編を選び、各一編を一章に当てて論じた。
目次
序 現象学の発見―われわれにとっての現象学
第1部 知覚理論と身体の現象学(知覚理論の形成―人間的経験の起点としての知覚;現象野の開示―古典的偏見の批判;身体の現象学序説―世界内存在としての身体 ほか)
第2部 相互主観的世界経験の構造(知覚経験―私の身体という視点;空間経験―世界経験としての空間知覚;物の経験―世界経験としての物の知覚 ほか)
第3部 言語理論と後期思索の構想(言語理論の形成―〈語る主体〉への還帰;言語経験―言語の創造的使用と表現の問題;パロールの現象学の構築―ラングからパロールへの乗り越え ほか)