内容説明
著者は、相対主義、客観性や倫理知の可能性など、倫理学の中核にあるとされてきた数多くの問題にあざやかな手さばきで新たな位置づけを与える。その過程で、私たちが現代の問題状況に立ち向かうためには、古代ギリシャに多くを負ういにしえの諸観念が必要であると説き、義務の観念を中心とした「道徳」という名の近代固有の倫理的思考は、もはや無用であり斥けられるべきだと論じる。
目次
ソクラテスの問
アルキメデスの支点
基礎づけの試み(幸福;実践理性)
倫理学理論のスタイル
理論と偏見
言語論的転回
知識、科学、収斂
相対主義と反省
道徳、この特異な制度