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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
5
「明日おれは鮫であるかもしれないのだ。/だが明日おれは風であるかもしれないのだ。/旗であるかもしれないのだ。」(「Présence」) 出発を告げる詩が若々しい。外界の感受の姿勢が明瞭で、時に自己に批判を加えたり再検討したりと、批評によって立つ基本的な姿勢が形作られていく。また、音の感覚やシュルレアルな変形もある。名作「地名論」にしたって地名の語感から受け取ったものを詩にしているのだ。おお、それみよ。2014/06/18
けいこう
4
若々しい作品に嬉しくなっちゃう。評論の最後にひかれているエリュアールの一文。「年をとる それはおのが青春を/歳月の中で組織することだ」2018/02/01
sk
1
イメージの氾濫の中に知性を感じる。2012/12/19
Cell 44
0
「燃えあがるカーテンの上で/煙が風に/形をあたえるように/名前は土地に/波動をあたえる/土地の名前はたぶん/光でできている/外国なまりがベニスといえば/しらみの混ったベッドの下で/暗い水が囁くだけだが/おお ヴェネーツィア/故郷を離れた赤毛の娘が/叫べば みよ/広場の石に光が溢れ/風は鳩を受胎する/おお/それみよ/瀬田の唐橋/雪駄のからかさ/東京は/いつも/曇り」(「地名論」)たゆみなく重ねられるイメージは奔流と言うには抑えられ視線は静かに水平線をなぞりつつ蜃気楼の熱を語る。2015/06/05
nightU。U*)。o○O
0
初期の後期(というか、当時にとっての中期)の矯めつ眇めつ書いたようなだらだらと続く長い詩が多く、それにやけにしちめんどうな大岡信論がついてる。彼はこれより後にもうちょっとすっきりしたいいものを書いてた気がする。実際詩集後半の「わが夜のいきものたち」には仕切り直したような清新な喜ばしさが感じられた。最初期のものはもちろん、何度読んでもいい。かなり文字数を費やして「自分には何があるのか」探っていた印象。2015/04/13