内容説明
「おんぼろヨットね」「ああ、ずいぶん無理したからな」「そうじ、しないの?」「毎日してるさ。でも9年も乗ったからね。…ほんとに君ひとりかい?だれも待っててくれなかったか」「え?」「9年めのきのう、帰ってくるって約束だったんだけどなあ。忘れられちゃったか」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
157
長谷川集平さんの三部作。人間の心底に漂う感情に流された、かいじゅうのうろこに続く第二話。海辺を見つめる少女、おんぼろヨットの長旅から戻ってきた海人。大海原に揉まれた者からすると、地上は不思議に見えるのだろう。しかし、地上にしかいたことがない者もそうだろう。生き方には各々の考えがある。全く違う世界を見てきたのに、なぜ二人の感性は似ているのだろう。海上の風と海辺の音はいつまでも共鳴する。別れを惜しむ海辺にはオルゴール。でんでらりゅうはでてくるばってんこーんこん♪分かり合える人はきっといる。また会えたらいいね。2024/02/23
ヒラP@ehon.gohon
15
不思議な出会いと、不思議な3日間の物語です。 人々に忘れられてしまったゲンタと、すっかり変わってしまった町。 ゲンタの居場所はなくなってしまったのですね。 再び海に出るゲンタは背中で語っているように思いました。2019/03/18
杏子
12
図書館の古本リサイクルで購入。でんでらりゅうの歌が!でも内容はよくわからなかった。2019/02/16
遠い日
8
海の男、ゲンタ。9年の航海から戻った浜で出会った7つのナオミ。海の上の9年の間に生まれ育った女の子。人生の交錯はこんな出会いからも起こりうる。3日間の会話をふたりはどんなふうに胸にとどめるのだろうか。2018/05/28