岩波科学ライブラリー<br> キリンの斑論争と寺田寅彦

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岩波科学ライブラリー
キリンの斑論争と寺田寅彦

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  • サイズ B6判/ページ数 125p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000296205
  • NDC分類 420.4
  • Cコード C0342

内容説明

キリンの斑模様は何かの割れ目と考えることができるのではないか。そんな論説を物理学者が雑誌『科学』に寄稿したことに生物学者が危険な発想と反論したことから始まった有名な論争の顛末は?現在の科学から論争の意味と意義を考える。主導的な役割を果たした寺田寅彦の科学者としての視点の斬新さ・先駆性が浮かび上がる。

目次

第1部 発端(キリンの斑模様に就いて;キリンの斑模様に関する平田氏の説に就きて;再びキリンの斑模様に就いて;キリンの斑模様に就いて;生物と割れ目;割れ目と生命)
第2部 現代科学との関わり(キリンの斑論争と非平衡科学;割れ目;風紋と砂丘;キリンの斑論争と現代の分子発生学)

著者等紹介

松下貢[マツシタミツグ]
1943年富山県生まれ。東京大学工学部物理工学科卒。同大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。日本電子(株)、東北大学電気通信研究所、中央大学理工学部で勤務。現在は、中央大学名誉教授。専門は統計物理学、パターン形成の物理(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

トムトム

23
タテジマキンチャクダイのシマシマは、年齢とともに本数が増える(1995年)は知っていた。でも、そこにいたるまでに「キリンの模様はひび割れた田んぼの泥にそっくり」(1933年)から続く壮大なストーリーが!胎内で胚が成長する時に皮がひびわれて、キリンの模様になるんじゃないか?と疑問を投げかけて、様々な分野の人が喧々諤々の論争に!最初は読みにくいけど、後半はドラマティックでした!アラン・チューリングも出てきます!2020/04/06

calaf

17
キリンの斑模様に関する論争...約80年前に、そんなものがあったのですねぇ...当時は世界でも珍しい思考だった寺田寅彦のグループと、他のグループとの間の論争で、感情論に発展して有益な議論はできなかったようですが。それにしても、寺田寅彦の先見性(?)ってすごいですねぇ...2014/02/14

AZUKI

6
P38「猫の斑紋に関する観察」がとても面白かった。家にいる猫を観察しながらふむふむと読んだ。2014/06/13

羊男

5
キリンの体の斑は泥が干上がったときの割れ目と酷似している。それを科学的に説明しようとした論争の記録。1930年代だからもう80年も昔の話だ。馬鹿にした生物学者に対して、寺田寅彦がいまの非線形科学に通じる論考がとても論理的で説得力があったことの斬新さが浮き上がって見える構成になっている。今もって日本に寺田寅彦のような科学者のエッセイが日本語で読めるのは、幸運だと思う。2016/10/04

hashi

2
平田氏の論文は「見た目が似ている」という観察による状況証拠しかないのに断定的であると感じる。これに対する岳氏の反論は論点がずれていると感じる。この反論に感じる「ズレ」こそが当時と今の科学に対する考え方の違いなのかもしれない。この不毛な議論に対して、その有益性・将来性を見抜き、「今は分からないかもしれないけど、みんなで考えましょう」と述べた寺田寅彦氏の先見性には恐れ入る。現象そのものを理解しようとした寺田寅彦氏の研究は大変興味深いのでぜひ随筆も読みたい。2015/08/24

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