内容説明
ノーベル賞講演「美しい日本の私」をはじめ、“あらゆる芸術の極意は、「末期の眼」”と述べた「末期の眼」、日々の素顔を映しだす連作エッセイ「落花流水」、友人への追悼文「横光利一弔辞」など、川端康成(1899‐1972)の珠玉の随筆31篇を収録する。これらは、「伊豆の踊子」「雪国」など川端の小説の背景を知るためには欠かせないものである。
目次
1(末期の眼;ほろびぬ美 ほか)
2 落花流水(行燈;伊豆行 ほか)
3(片岡鉄兵の死;横光利一弔辞 ほか)
4(私のふるさと;芥川竜之介と菊池寛 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
70
歳月を超えて読み継がれる小説とはなにか。ここに書かれるひとびとも、例えば正宗白鳥などは今や研究者にしか読まれていないだろう。それを思うと川端の作品の特異性がよくわかるが、ノーベル賞を受賞したという特権がなければどうだったのかと問われるとセールスの上での断言はできない。どんなに優れた作品であっても、ロングセラーでなければ価値が薄れてしまう難しさを感じた(個々人の価値にとってはその限りではないが)。2019/02/02
HANA
45
川端康成はあまりというか、ほぼ読んだことがないが、随筆を読む限り「美」というのにひたすら拘った作家のように思えた。後、なんとなく線の細さのようなものが、文章のあちこちから見え隠れするような気がするのは著者の最後を知っているからかな。内容は日本の美について語ったものから作家論、日常を描いたものまで幅広く収められているが、一番興味深く読めたのはやはり日本の美の部分、次いで作家論。『伊豆の踊り子』があまりに有名になってからの著者の困惑も面白い。あまりにも有名すぎるので逆に敬遠してた諸作品に手を付けてみたくなる、2014/04/23
やいっち
41
本書については、感想は不要だろう。川端の多様な面を知ってもらおうと編集。「禽獣」再読したくなった。2019/10/21
くみ
23
収録作「美の存在と発見」の冒頭でガラスコップの美しさを綿密に表現している部分がある。この随筆集も様々に反射する光を放つプリズムのようなだと思った。美術、古典を静かに語ると思えば、若い作家への情熱的な推薦文があり、追悼文では作家仲間との思い出をじっくり懐かしむように綴る。そして時折ちらっと見られる茶目っ気が愛らしい。何気なく読み返した自作のマズさに飛び上がったり、見ず知らずの人から「伊豆の踊り子」の人形を送りつけられて「私は返事を書く義務があるのか」と憤慨する様子など、思わず笑ってしまった。2018/10/27
takumi
20
美しい日本語、最骨頂な気がします!文豪たちへの思い綴られてます!2016/04/30