内容説明
一兵士として現地に滞在したシエサが九年の歳月を費やして完成した「アンデス百科」ともいうべき大著『ペルー記』の第一部。コロンビアからチリに至る地域の自然、人文、特に民族誌を収録。旧インカ帝国の高度に洗練された文化を驚嘆しつつ記録している。
目次
この著作の企画と区分が以下に述べられる
ここではインディアスの発見、およびその初期におこなわれたこと、および現在の状態について扱う
パナマ市とその建設について。他の地に先立ってこの市について述べられる理由
パナマ市からペルーに到着するまでの港、およびその相互間の距離、緯度について
諸王の都「リマ」の外港カリャオまでの航海について
諸王の都「リマ」からチリ地方までの港と川。それぞれの緯度、およびその地方の航海に関する事項
ウラバ湾にサン・セバスティアン市が建設されたいきさつ、および同地方の土着のインディオについて
サンタ・マルタやカルタヘナのインディオたちが多くのエスパニャ人を殺した猛毒の液の製法
ウラバ市に属するインディオたちのその他の習慣について
サン・セバスティアン市とアンティオーチャ市の間の道と、そこにある山、モンターニャ、川その他について。旅行に適当な時期について〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
3
テレビで見たことがあるのはティティカカ湖だったが、南米の標高の高さもまた、独特の地誌を産む要因なのだろう。毒となるものとして例示は、コウモリの翼、ぺへ・タンボリーノという小魚の尾と頭、カエル、ヘビの尾、エスパニャ産と味も色も変わらないリンゴと、かなり命の危険のあるものも多いのが要注意とわかる(78ページ)。日本人からすれば、考えられないものばかりだ。死ぬと、陽気で楽しい場所に生まれ変わるはずだと信じているようなパスト地方の部族もいる(204ページ)。評者はよほどのことがない限り、行かない場所だと思う。2012/12/21
卯月
0
再読。四部作の第一部。パナマからコロンビア、エクアドル、ペルーを経てボリビアまで、本書の通りに旅してみたくなる。2011/01/13
yanapong
0
スペインによる支配直後の時点におけるインカの地誌・民族誌。意外に自国(イスパニア)への批判もある。2010/07/04