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岩波文庫
日本倫理思想史〈1〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 372p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003811054
  • NDC分類 150.21
  • Cコード C0112

内容説明

『倫理学』と並ぶ和辻哲郎の主著。古代から近代に至る倫理思想の展開とそれを支える社会構造の変遷を、宗教から文学まで視野に収めた壮大なスケールで描き出す試みは、日本思想の通史としていまだ類例がない。戦後まもない1952年に刊行された本著は、これ自体が近代日本の思惟の可能性と困難を照らす生きた史料である。

目次

第1篇 神話伝説に現われたる倫理思想(宗教的権威による国民的統一;神話伝説における神の意義;祭祀的統一にもとづく道徳―清明心の道徳)
第2篇 律令国家時代における倫理思想(政治的国家の形成;聖徳太子の憲法における人倫的理想;人倫的国家の理想;奈良時代における「あきつかみ」の思想;奈良朝平安朝における仁政の理想;平安朝における皇室尊崇)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

弥勒

10
日本倫理思想史とあり、古代の神話伝説における「清さの価値の尊重」「人間の慈愛の尊重」「社会的正義の尊重」という倫理観が日本の歴史を通じてどのようになっていたかを示している。和辻氏の旧来の日本史の解釈に縛られない歴史観はすごく面白かった。ただ、藤原氏の専権政治が皇威を軽くしたか否かの部分で、藤原氏が皇威を背景に権勢を誇っていたのを理由に皇威を軽くしてはいないという説明があるが、坂口安吾の「堕落論」にもあるように、そういう政治的利用によって天皇の権威を蹂躙していたことは事実であろうと思われる。2015/08/20

帽子屋

6
古代の神話や天皇系統から読み解く和辻の日本人の精神論はとても面白い。最初は正直「倫理というより民俗学かな?」と思っていたけれど、それが結論につくころにはちゃんと日本人の感性や道徳につながっていくのが天晴。あんまり日本史に詳しくなくてもこれならすいすい読めますね。2014/08/25

ぴこ

1
単なる理論ではなく、考古学的に実際の事件や記述を丁寧に調べて具体的に考察しているところがいい。古代権力という観点から見ても面白い。ターニングポイントは宗教的権威によって西日本が統一された三世紀と清明心の道徳、七世紀の大化の改新から始まる人倫的思想である。日本史の知識はさほど要求されない。 2013/02/25

大臣ぐサン

1
読みやすい、わかりやすい、独創的。拍手~!お堅いイメージの倫理学の本の中ではかなり読み手を意識して書いていると思われます。日本史を辿りながら日本人の倫理感の変遷を探るという手法は民俗学的な印象を受けます。大まかな流れは抑えてあるので日本史の勉強にも良いです。ちょうど水木しげる大先生の『古代出雲』を読んだばかりだったので、神話の辺りは復習みたいな気持ちで読めました。大先生ありがとう!2012/03/30

那由田 忠

1
 天皇制を天皇による独裁と理解せず、文化や権威による仁政として古代や神話から分析する。確かに公地公民制は君主国家として変だ。和辻の天皇文化論は非常に刺激的である。2012/02/29

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